国内

【自民党と創価学会】自公関係の本質は「連立」ではなく「選挙協力」 野中広務・幹事長が見いだした「自創連携」という計略

自公連立を推し進めた小渕恵三内閣の野中広務・官房長官(時事通信フォト)

自公連立を推し進めた小渕恵三内閣の野中広務・官房長官(時事通信フォト)

 公称会員827万世帯を誇る創価学会──政権運営に多大な影響を及ぼしながら、これまで公明党という緩衝材のおかげで、自民党との関係性は表に見えてこなかった。支持率低下にあえぐ岸田政権の生殺与奪権をも握る「最強集票組織」の正体に迫る──。

 自公ではなく「自創」という連立政権の核心を知り得る者は、永田町にも数少ない。長年その関係を取材し、創価学会との太いパイプがあることで知られる菅義偉・前首相のもとで首相補佐官を務めた帝京大学教授の柿崎明二氏がその内幕を描く。【全3回の第2回。第1回から読む

 * * *
 メディアは自公関係を「連立」と称する。しかし、これでは野党時代を説明できない。本質は選挙協力にある。2009年に下野した直後、公明党は関係見直しを模索したが、2010年の参院選でも地域ごとの協力は維持され、非改選も含めて民主党を参院過半数割れに追い込んだ。2012年、衆院選では選挙協力をほぼ復活させ圧勝、政権に復帰した。

 本来、野党が連立政権の樹立、あるいは連立与党がその維持を前提に国会対策や選挙で協力することは「政党連合」と定義される。野党時代を含めると自公は政党連合なのだ。だが、メディアが閣僚人事など与党時の派手なニュースに目を奪われているせいか、政党連合には目が向けられない。

野中広務が明かしたこと

 選挙協力が重要であることを見抜いていたのが、自公連立を推し進めた小渕恵三内閣の野中広務・官房長官だ。

 野中氏の政務秘書官だった加藤芳輝氏は生前、私に「野中氏は1998年に官房長官に就任する前から旧知の創価学会関係者に連絡して感触を探り、連立も可能と踏んでいた」と語っている。

 野中氏も自身の回顧録で〈いきなり自民と手を組んだのでは、支持者にとても説明できない。ワンクッションおいてもらわなければ〉(『野中広務 全回顧録 老兵は死なず』文藝春秋)と新進党分裂を経て再結党した公明党から要求があったことを明かしている。その意向を踏まえ、まず、小沢一郎党首率いる自由党を引き込み、公明党の求める政策を実現するなど環境整備に努めた。そして、翌1999年10月、公明党は自自連立内閣に参加した。

 野中氏が感触を探った創価学会関係者とは、創価学会本部青年部副男子部長などを務めた竹岡誠治氏だろう。竹岡氏の著書『サンロータスの旅人』(蜜書房)の発刊への寄稿文で野中氏はこう振り返っている。

〈初めてお会いしたのは、山梨だった。私が自由民主党の総務局長在任中であった。仲介者は佐々木ベジ氏。(中略)そのころ山梨では、金丸信氏のスキャンダルで、知事選で金丸系が落選し、次いで(1992年の)参議院の選挙区も厳しい状況であった〉

 会った席で野中氏は竹岡氏に公明党の支援を要請、〈おかげで選挙は、勝利することができた〉という。その後紆余曲折を経て、急速に両氏は親しくなり、野中氏は次のように呼びかけられる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン