ハロウィン直前の週末となった10月28日の土曜日。昨年のように渋谷駅前は大騒ぎ──かと思いきや、むしろ目立ったのは例年以上の警戒態勢だった。渋谷駅のハチ公前の改札口は封鎖され、「ハチ公像」は白い幕で覆われていた。スクランブル交差点やセンター街の各所には警官が立ち並び、ホイッスルを鳴らしながら「立ち止まらないでください」と道行く人たちを誘導していた。
レプリカナイフを片手に、血まみれデザインのセーラー服で個性的なコスプレ姿の30歳女性は、「韓国から来たのにコスプレしている人がほとんどいない」と寂しそうに話す。
「渋谷のハロウィンには去年も来ました。今年も楽しみたいと思ってセンター街を回ったんですけど、警備がすごくて。私のほかにはコスプレしている人がほとんどいませんでした。お酒を飲んで暴れる人もいるけど、コスプレイヤーの人と出会って友達になるのが楽しみだったので……個人的に今年は去年よりコスプレの完成度も高かったので、残念です」
「警察官もついてくる」
この女性のようにコスプレを楽しむ人の大半は、ハロウィンを目的に渋谷を訪れた外国人だった。「今日はハロウィンじゃないの? なぜ盛り上がらないの?」(アメリカ人女性)といったように嘆く人が多かったが、厳重な警備をありがたがる女性もいる。