59年ぶりの関西対決として盛り上がりを見せる日本シリーズ。阪神が頂点に挑むのは9年ぶりだが、願いを果たせば38年ぶりの快挙となる。否が応でもファンたちのボルテージが上がっている。熱狂的なことで知られる阪神ファンは、関西出身者に限らず、海の向こうにもいる。1982年に阪神の虜となり、今も声援を送る往年のプロレスラー、スタン・ハンセンもそのひとりだ。強烈なウエスタン・ラリアットで日本を熱狂させた「不沈艦」ハンセンに語ってもらった。
* * *
「1985年に阪神タイガースが日本一に輝いたことはよく憶えているよ。当時はアメリカに帰国していたから、その瞬間はリアルタイムで見ていないからわからないけど、ランディ・バースから日本一になったと連絡がきて知ったんだ。大好きな阪神タイガースがついに日本一に上りつめたと聞いて、最高に幸せでエキサイティングだったね。1985年は妻のユミと結婚した年でもあり、大きな幸せが重なった特別な年になったよ」
ハンセンが来日し、初めてリングに上がったのは1975年。1978年には新日本プロレスのリングに参戦した。卍固めを力づくで外し、ラリアットで場外に吹っ飛ばしてKO勝ちを収めたアントニオ猪木戦は、現在でも語り草となっている一戦。同時に、ハンセンの人気を不動にした戦いでもあった。
「阪神ファンになったのは1982年。だから、かれこれ40年以上、ファンを続けているよ。全日本プロレスのレフリーで、友人だったジョー樋口さんの好きなプロ野球チームが阪神タイガースだったのがきっかけだった。私が全日本プロレスに所属したこの年、ジョーさんはいつも阪神の話をしていた。どれだけ自分が阪神を愛しているかを語っていて、私も自然と阪神のファンになったんだよ」
バースとは現在も交流
ハンセンが全日に電撃移籍した1982年の年末に阪神への入団が決まったのが、後に「史上最強の助っ人」と呼ばれることになるランディ・バースだった。ハンセンは現在でも、バースと交流を持っているという。
「1983年にバースが阪神に入団し、友人になってからは、阪神との関係はより大きくなったね。バースとは時々、炉端焼きの店など様々な場所に行って、ビールを飲んだりして語り合っていたよ。阪神タイガースの大ファンになったのはバースのおかげだね。バースを通して他の選手と交流することもあったよ。バース、掛布、岡田は偉大な野球選手だった。バースを介して、多くの選手と会い、たくさんのハッピーな時間を持つことができたよ」