国内

【公明党最強の集票組織】創価学会婦人部の正体 組織の上下関係にとらわれず、男性社会に対する迫力になった

安保法制の強行採決後、婦人部の女性たちが信濃町でデモを行なった(2015年8月、撮影/堀田喬)

安保法制の強行採決後、婦人部の女性たちが信濃町でデモを行なった(2015年8月、撮影/堀田喬)

 公明党の得票力の源となってきたのが創価学会婦人部(現・女性部)だ。自民党が依存し、時に振り回されてきた最強の集票組織である。自公の協力関係が揺らぐなか、「最強組織」の内実にノンフィクション作家の広野真嗣氏が迫る。【前後編の前編。後編を読む

 * * *
「私は、学会の歴史そのものを生きてきました」

“大物婦人部長”と呼ばれ、最強の集票組織「創価学会婦人部(2021年に女子部と統合して女性部に改称)」の中で尊敬を集めてきた1946年生まれの坂口幾代氏は、10月20日、直撃取材に動じる様子もなく、そう語った。

 青と白のストライプのジャケットにパンツルック。日傘を下げた上品な佇まいからは、池田大作名誉会長から“妙法のジャンヌ・ダルク”の異名を授けられた闘士という印象は感じられない。だが、口を開けば弁は鋭い。

 坂口氏は20分間の取材中、創価学会の平和運動に捧げた半生に話が及ぶと熱っぽく語気を強めた。

 創価学会婦人部は、この国の政界で長きにわたり異様な存在感を見せてきた。一昨年の衆院選では、神奈川13区で自民党の甘利明氏が現職幹事長としては異例の敗北(比例復活)を喫したが、過去の金銭スキャンダルが総括されないまま要職に復帰したことが婦人部の不興を買い、公明支持層からの得票が伸び悩んだことが大きな要因と囁かれた。そうした“伝説”は永田町で枚挙に暇がない。

 そんな婦人部の中心にいた坂口氏は筆者の問いに率直に答えた。ただ、詳細は後述するが、婦人部と執行部の間で囁かれる「溝」については言葉を濁した。

 その11日前、筆者は「平和を語らない公明党」を目の当たりにしていた。

 10月9日、埼玉県三郷市の駅前で次期党代表と目される石井啓一・幹事長が行なった15分間の街頭演説は、物価対策、治水対策、開通予定の有料道路の話。3つの話題を5分ずつ話す几帳面さはスマートだが、すべて「ご当地ソング」の話題で終わった。2日前、世界に衝撃を与えたハマスによるイスラエルへの砲撃には一言も触れなかった。

 学会がこだわる平和をどう語るか、せめて紛争勃発に心を痛める言葉だけでも聞きたかったが、過剰な期待だったのか。それに、聞いている学会員は満足なのだろうか。

 聴衆は熟年層の20人ほど。50代の女性学会員に聞くと「実績はすごいから」と石井氏をかばった。

「政党名だけで毛嫌いしたり、野党の嘘八百を信じる人もいるけれど、大臣や幹事長の実績が伝われば、小選挙区でも問題ないはずです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

TBS系連続ドラマ『キャスター』で共演していた2人(右・番組HPより)
《永野芽郁の二股疑惑報道》“嘘つかないで…”キム・ムジュンの意味深投稿に添付されていた一枚のワケあり写真「彼女の大好きなアニメキャラ」とファン指摘
NEWSポストセブン
田中圭の“悪癖”に6年前から警告を発していた北川景子(時事通信フォト)
《永野芽郁との不倫報道で大打撃》北川景子が発していた田中圭への“警告メッセージ”、田中は「ガチのダメ出しじゃん」
週刊ポスト
菅野智之がメジャーでなぜ打たれないのか(写真=Imagn/ロイター/アフロ)
35歳でメジャー挑戦の“オールドルーキー”菅野智之、メジャー平均球速以下でも“打たれない理由” 大打者を手玉に取る技術を解剖
週刊ポスト
逮捕された不動産投資会社「レーサム」創業者で元会長の田中剛容疑者
《無理やり口に…》レーサム元会長が開いた“薬物性接待パーティー”の中身、参加した国立女子大生への報酬は破格の「1日300万円」【違法薬物事件で逮捕】
週刊ポスト
2日間連続で同じブランドのイヤリングをお召しに(2025年5月20日・21日、撮影/JMPA)
《“完売”の人気ぶり》佳子さまが2日連続で着用された「5000円以下」美濃焼イヤリング  “眞子さんのセットアップ”と色を合わせる絶妙コーデも
NEWSポストセブン
石川県を訪問された愛子さま(2025年5月18日、時事通信フォト)
「バッグのファスナーをすべて開けて検査」愛子さま“つきまとい騒動”で能登訪問に漂っていた“緊張感”
NEWSポストセブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さんが第1子出産》小室圭さんが母・佳代さんから受け継ぐ“おふくろの味”は「マッシュポテト」 関係者が明かす“佳代さんの意外な料理歴”とは
NEWSポストセブン
群馬県草津町の黒岩信忠町長、町長からわいせつ被害を受けたという嘘の告訴をした元町議の新井祥子被告
「ずるずるずるずる、嘘を重ねてしまいました」…草津町長への“性被害でっち上げ” 元女性町議が裁判で語った“発言がどんどん変わった理由
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん明かす「バレーボール愛」と秘かに掲げていた「今年の目標」
NEWSポストセブン
西内まりやがSNSで芸能界引退を発表した(Aflo)
《電撃引退の真相》西内まりや、金銭トラブルの姉と“絶縁”していた…戸籍を抜き、母親とも別居に至った「深刻な事情」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《RYOKI・三山凌輝が活動休止》結婚予定の趣里、父・水谷豊は“何があっても様々な選択ができるよう”新会社設立の親心
NEWSポストセブン
6月は“毎年絶好調”というデータも(時事通信フォト)
《ホームラン量産モードの大谷翔平》6月は“毎年絶好調”で「月間20本塁打」もあるか? 見えてくる「年間60本塁打」昨季を超える異次元記録
週刊ポスト