「頭痛」「花粉症」は薬を使い分ける
服用のタイミングに加え、のみ方や薬選びにも“ウソ常識”は蔓延している。無数に流通している解熱鎮痛剤の中でも特に気をつけたいのは、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アスピリンなどを主成分とする「NSAIDs」と呼ばれる種類の解熱鎮痛剤だ。
「ロキソプロフェンは1週間以上連用すると胃が荒れやすくなり、胃潰瘍にまで悪化したという報告もある。薬自体に痛みを抑える作用があるため、潰瘍ができても気づきにくいのです。長期で服用せず、頓服として使うべきです」(岡田さん)
「どの薬を選んでも同じ」という考えは間違いなのだ。
「ひどい歯痛や、炎症による痛みがある場合は、抗炎症作用があるNSAIDsを使った方が効果が出やすい。一方で、胃が弱い人や子供にのませたい場合はアセトアミノフェンが主成分のものを選ぶといいでしょう。また“イライラによる頭痛には鎮静剤入り”など、求める効果によっても使い分けるといい」(三上さん)
花粉症などに使う抗アレルギー薬も、選び方が重要なのは同じだ。
「花粉症薬には古くから使われてきたが眠くなる副作用が出やすい『第一世代』と、比較的新しく眠くなりにくい『第二世代』の2種類がある。病院で処方されるものはほとんどが第二世代なので、秋花粉に悩んでいるなら、最初は市販薬を買うよりも病院で診察を受けて薬をもらう方がいい」(岡田さん)
ただし、処方薬ならどれでも同じ効果が見込めるという考えはもってのほか。ジェネリック医薬品は「先発薬とまったく同じ成分」などと説明されるが、これは真っ赤なウソだと、長澤さんは言う。
「先発薬と同じなのは『有効成分』だけで、その量もわずか数mgほど。多くがインドや中国からの安価な“輸入モノ”のうえ、それ以外の成分はまったく違います。製造工程のほか、効果や安全性の確認方法も先発薬とは異なるため、有効成分が同じでも効き目が同じとは限らないのです」(長澤さん)
事実、2020年以降はジェネリック医薬品メーカーの不正が相次いで発覚。10月23日にも、大手メーカーがジェネリックの胃炎薬の品質試験で不正を行っていたことが発覚した。現状では、できる限り避けた方がよさそうだ。
※女性セブン2023年11月16日号