毎年大晦日恒例のNHK紅白歌合戦。今年初出場となる可能性が高いと囁かれているのが、「あの」としてのタレント活動も絶好調の「ano」だ。
昨年11月に配信リリースされた『ちゅ、多様性。』は、アニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマに使用されたこともあり、大ヒット。「あの」名義で多数のバラエティー番組に出演するだけでなく、ファーストツアーを成功させたほか、大規模フェスにも出演するなど、音楽活動で大活躍中だ。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「『ちゅ、多様性。』は特にTikTokでバズった楽曲でもあります。同じく今年の紅白で初登場が有力視されている新しい学校のリーダーズの『オトナブルー』もまたTikTokでバズった楽曲であり、今年の紅白は若い世代を意識したものになるのかもしれませんね」
SNSでバズったアーティストのほか、K-POPアーティストや旧ジャニーズ事務所所属のグループなど、“若者向け”の出場者が多い昨今の紅白歌合戦。今年も同様の傾向となるのだろうか──。
「紅白にとって、若い層の視聴率を獲得することこそが大きな課題です。しかし、それが功を奏しているかどうかは疑問。特に昨年は例年にもまして“若者向け”になっていたものの、いい結果には繋がりませんでした」(テレビ局関係者・以下同)
2021年の世帯視聴率は34.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、2部制となった1989年以降最低の数字だった。若者向けを色濃くした2022年の世帯視聴率は35.3%で、わずかながらに上昇したものの、ワースト2位だった。
「若者向けにシフトしたところで、大きく数字が回復するというわけではないのが現実です。それどころか、若者向けになったことで、中高年以上の高齢視聴者を切り捨てているのではないかとの声もあります。それこそ『あの』にしても、バラエティー番組での活躍は幅広い年齢層のテレビ視聴者に知られていますが、『ano』としての音楽活動については、高齢の視聴者には馴染みが薄いですからね。
そもそも紅白歌合戦は幅広い年齢層の歌手が出演するわけであり、“懐メロ”要素も強く、メインの視聴者層は中高年以上です。にもかかわらず、若者向けにシフトするのは、番組のコンセプトと逆行するのではないかとの指摘も多い。テレビを見る年代は中高年以上が多いことを考えれば、若者向けにシフトするよりもむしろ“懐メロ”要素を増やしていくほうが、視聴率獲得につながるとも意見もあります」