試合さながらの緊張感が漂うスケートリンク。曲と共に滑り出し、ジャンプの軌道に入るとそのまま完璧な4回転サルコウを着氷。宙に舞う氷の粒がライトで照らされ、主人公をより幻想的に包み込む。その後も次々と高難度ジャンプを決め、そのたびに会場に割れんばかりの拍手が鳴り響く。スポットライトの下で舞い続けるのは、昨年7月にプロに転向した羽生結弦(28才)。
「競技選手だった頃の曲でも滑ってくれて、現役時代と遜色ないハイレベルなパフォーマンスに、胸を打たれました」(ショーを見たファン)
羽生にとって自身初となる単独ツアー公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR」が11月4日、さいたまスーパーアリーナで開幕した。来年2月までかけて、全国3会場を巡る予定だ。
初日のアンコールを終えると、会場内はスタンディングオベーション。自分ひとりのためだけに降り注ぐ、万雷の拍手のシャワーを浴びて込み上げる思いがあったのか、瞳を潤ませながらゆっくりと会場を見渡した羽生は、アリーナ上階の貴賓席のあたりを見やると、優しく小さく微笑んだ──。何気ない一瞬だったが、ファンは見逃さなかった。彼の視線の先には、パンツスーツ姿のスタイル抜群の美女。
「『誰だろう?』と場内は騒然としました。それでも勘の鋭いファンは、『あぁ、もう隠さないんだな』と彼女の正体にピンときたようです」(前出・ファン)
ゲームをモチーフに羽生が作り上げた世界観に、場内を埋め尽くした1万4000人のファンたちは没入。チケットは即完売だったという。
「ゆづファンは連帯感が強い。今回の公演ではマスク着用が義務付けられていなかったにもかかわらず、9割以上の観客は自主的に着用。長いツアーに挑むゆづに、万が一コロナやインフルエンザを感染させてはいけないと、事前にSNSで“マスク着用”を呼びかけるファンもいました」(前出・ファン)
「推し」を思う気持ちは強い。だからこそ、結婚発表のときも羽生は細心の注意を払った。
「今年8月の結婚発表と同時にお相手の詳細を語らなかったのは、ファン心理を理解する羽生さんなりの最大の配慮。今後も“孤高のスター”を演じ続けるつもりなのでしょう」(スポーツ紙記者)