プロスポーツの現場に出入りできる「取材パス(取材章)」はメディアに与えられた“特権”と言えるかもしれない。当然ながらパスを発行された側には、ルールの遵守が求められる。しかし、大手スポーツ紙「日刊スポーツ」の記者が業務と関係のない第三者に取材パスを渡し、プロ野球の試合を「無銭観戦」させていたことが発覚し、大問題になっているという。
「問題を起こしたのは日刊スポーツ新聞社のA記者。A記者は9月30日午前、神宮球場で開催される六大学野球の秋季リーグ戦の取材パスを複数枚申請し、担当ではない複数の同僚に渡していた。この同僚たちは取材パスで球場に入り、六大学野球を観戦。その後、そのまま18時から開催されたヤクルト対DeNA戦も観戦していた。
この同僚たちのお目当てはヤクルト戦の観戦だったようで、六大学野球の試合後も退場せず、ヤクルト戦が始まるまで球場内をずっとうろうろしていたようです。それを不審に思った球場の関係者が目をつけたことで、不正が発覚したと聞いています」(スポーツ紙記者)
六大学野球の観戦料は外野席なら1000円、内野席なら2000円だ。神宮のヤクルト戦のチケットは試合日にもよるが、席によっては6000円を超える。同僚に「無銭観戦」させていたことも問題だが、より重いのが「取材パスの目的外の利用」だ。
取材パスは、記者クラブに所属するテレビ、新聞などのメディアに与えられる。プロ野球だと監督や選手に直接取材できるのは当然のこと、関係者しか入れないエリアにも入ることができる。こうした行為が認められているのは、球団とメディアの間に信頼関係が構築されているからだ。