大相撲11月場所(11月12日初日)を休場する横綱・照ノ富士。休場は3場所連続で、横綱在位14場所で8度目となる。今回の休場の原因は腰痛だが、慢性的な糖尿病や両膝痛もある。今年の15日間皆勤は5月場所だけ。最高位の責任を果たしていないという批判も出てきそうなものだが、簡単には引退を考えられない事情もありそうだ。
照ノ富士の評価について、相撲担当記者はこう言う。
「9月場所も全休したが、8月の夏巡業は全勤。秋巡業は10月13日から途中参加しており、協会内では“横綱として最低限の仕事をしている”と評価する声もある。横綱の連続休場記録(途中休場を含む)は稀勢の里(現・二所ノ関親方)の8場所がある。平成の大横綱といわれた貴乃花も7場所連続休場している。八角理事長(元横綱・北勝海)も横綱昇進2年目に3場所連続全休し、引退前も4場所連続休場している。照ノ富士はひとり横綱ということもあり、まだ余裕があるのでは」
とはいえ、横綱に休場が続くことには批判が生まれる。一方、出場に踏み切ると成績が伴わないことにより引退を早める可能性もある。いずれにしても休場は問題の先送りにしかならず、少しずつ追い込まれている照ノ富士だが、そう簡単に引退できない理由がある。引退後に協会に残るために必要な年寄株(年寄名跡)を取得していないのだ。協会関係者が言う。
「照ノ富士は引退後も、横綱経験者の特権として5年間は現役時代の四股名で親方として協会に残ることができるが、5年以内に105ある年寄株のいずれかを取得しないと廃業しなければならない。もちろん、現役四股名の親方だと部屋を持つこともできない。2年後には師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が定年を迎えるが、部屋を継承することはできないわけです。照ノ富士としてはなんとしても年寄株を入手しないといけないわけだが、先輩横綱の鶴竜も苦戦している状況で、そんなに簡単な話ではないとみられている」