部屋を継承できない
師匠の伊勢ヶ濱親方は2年後の2025年7月に65歳の定年を迎える。伊勢ヶ濱親方は雇用延長制度（70歳まで参与として再雇用）を利用するとみられるが、再雇用の親方は部屋持ち親方にはなれないので、継承者が必要になる。照ノ富士がそこで部屋を継承するには、2年以内に年寄株を取得しなければいけないわけだ。しかし、慢性的な年寄株不足のなかで、照ノ富士は困難に直面している。若手親方は今後についてこう話す。
「部屋を継承する噂があった伊勢ヶ濱親方の親戚にあたる元関脇・安美錦（安治川親方）が独立して部屋を興したことで、照ノ富士が伊勢ヶ濱部屋を継承することは既定路線。2年以内に伊勢ヶ濱親方と交換するための年寄株を取得できるのが理想だが、伊勢ヶ濱親方の定年後に他の部屋付き親方にワンポイントで部屋を継承させ、照ノ富士が現役四股名の親方でいられる5年間の特例期間を終えた後に伊勢ヶ濱親方から年寄株を譲渡してもらうことになるのではないか。
伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方には楯山親方（元前頭・誉富士）がいる。また、年寄株『桐山』（現在は大島部屋の部屋付きの元前頭・旭日松が借株として襲名）を取得したとされる宝富士もいる。いずれかがワンポイントで部屋を継承するのではないかとみられている」
伊勢ヶ濱部屋ではかつて、モンゴル出身の横綱・日馬富士が部屋を継承するとみられていたが、貴ノ岩暴行事件で廃業に追い込まれた。照ノ富士も部屋継承までの道のりにはひと山もふた山もあり、スンナリとはいきそうにない。同じ一門の元横綱・白鵬（宮城野親方）が一門の総帥の株である「伊勢ヶ濱」を狙っているとの見方もある。照ノ富士にとっては土俵の内外で試練が待ち受けている。
