11月1日、『あぶない刑事』のシリーズ最新作となる映画の製作発表会見が行われたが、主要キャストの木の実ナナ(77才)が不在で、関係者の間で、ちょっとした騒動になっていた。
同シリーズは横浜の警察署を舞台に、舘ひろし(73才)演じる「タカ」と柴田恭兵(72才)演じる「ユージ」のコンビの破天荒な活躍を描いた刑事モノ。日本テレビ系列で1986年からドラマが放送開始されると、当時の若年層を中心に社会現象を巻き起こし、以来、長年にわたり映画やドラマでシリーズ展開されてきた。
「8年ぶりとなる最新作のタイトルは『帰ってきた あぶない刑事』で、来年5月24日から公開されます。シリーズ8本目の映画となり、刑事モノの映画で世界最多を更新することになる。製作発表会見では、舘さんと柴田さんに加え、浅野温子さん(62才)や仲村トオルさん(58才)といったシリーズお馴染みのメンバーも登場。舘さんが『また帰ってきちゃいました。ほんとにすみません』とおどけて話すと、会場は笑いに包まれました」(芸能記者)
しかし往年のファンが歓喜するなか、最新作には“帰ってこない”メンバーがひとりいる。過去の全シリーズに出演し、前作の映画『さらば あぶない刑事』(2016年公開)でも存在感を放っていた木の実だ。
『あぶデカ』に欠かせないはずの木の実が最新作のキャストに名を連ねていない背景にはどんな事情があるのか──
漢字、ひらがな、カタカナが3つ揃った「木の実ナナ」という芸名は、“歌も踊りも芝居もできるスターに”という願いをこめて名づけられたという。
終戦の翌年の1946年、東京の下町で生まれた木の実は、中学2年生のときに芸能事務所の新人オーディションに合格して芸能界入り。トランペット奏者の父と元ダンサーの母を持ち、幼少期から歌や踊りに親しんできた彼女は”歌って踊れる歌手”として売り出されることになった。
しかし、16才で『東京キカンボ娘』(1962年)で歌手デビューを果たすも、その後はあまりヒット曲に恵まれず人気は低迷。下積みの時代が長く続いた。
不遇な状況からの脱却をはかるため、1970年に単身渡米した木の実は、本場のショーを観賞したり、現地のナイトクラブに出演するなどして、自身の芸を磨いた。
転機が訪れたのは帰国後の1973年、26才のときだった。劇団四季のミュージカル舞台『アプローズ』のオーディションに自ら応募して合格を勝ち取ると、この舞台が人気を集めた。木の実自身も高い評価を得て、その後は舞台女優としての地位を確立していく。