ジャニー喜多川氏の性加害問題が、最悪の“二次被害”を生んでしまった。SMILE-UP.に社名を変えた旧ジャニーズ事務所が被害者への補償対応を進める中、大阪府内の山中で元ジャニーズJr.の男性A氏が変わり果てた姿で発見されたのだ。
「亡くなったA氏は40代。今年春頃に旧事務所に性被害を申告し、性加害問題の当事者によって設立された『当事者の会』のメンバーでもありました。発見されたのは10月13日の午前中。箕面市の山中を通りかかった通行人がA氏を見つけて通報したのです。遺体が発見された際、近くに遺書のようなメモが残されていて、大阪府警は自殺とみて慎重に経緯を調べていました」(全国紙社会部記者)
今年、一部のメディアで性被害を告白したA氏は、かつてはジャニー氏に目をかけられていたJr.だった。しかし、デビューすることなく短期間で退所。芸能界からも引退し、別の職業に就いた。だが、今年に入り、ジャニー氏の性加害問題が世間を騒がせたことで一念発起。当事者の会に所属し、実名で被害を訴え出た。
A氏が所属していた当事者の会は《ジャニー喜多川による性被害を被り、その事件を告白・告発したメンバーで立ち上げた有志の任意団体》(公式ホームページより)。今年6月に創設されて以来、旧ジャニーズ事務所に対し、被害者との対話や救済基金の設立などを要望してきたが、SNSなどには「売名行為だ」、「被害証言は嘘」などという根拠のない中傷が多数書き込まれていた。その言葉の刃はA氏にも襲いかかった。
「SNSやネットニュースのコメント欄にはA氏を非難する書き込みが多数投稿されていました。A氏が意を決して告白した際、時系列や経歴の矛盾点を指摘する声が相次ぎ、名乗り出た理由を《金目的》と決めつける無神経な中傷コメントもありました。A氏は実名で顔も出して告白したため、現在の職業や住んでいる場所までネット上にさらされ、本人だけでなく家族も不安や恐怖を感じていたそうです」(前出・社会部記者)
A氏の遺書には家族への思いも綴られていたようだ。
生前、A氏はネットの誹謗中傷も取り締まってほしい、とSMILE社に訴えていたという。だが、同社の対応は多くの面で後手に回った。9月半ばから被害申告を受け付けているSMILE社には2週間で478人が申し入れ、そのうち325人が補償を求めているというが、被害者へのケアが充分ではないという指摘も少なくない。
「東山紀之社長は会見で『法を超えた補償をする』と明言しましたが、いまだ具体的な対応は明らかにされていません。個別の対応も不充分で、A氏が被害を申告した際も、事務所側は『担当者が必ず折り返す』と伝えながら、何か月もの間、放置し続けたそうです」(芸能関係者)