9月場所で優勝した大関・貴景勝だが、11勝4敗という低調な成績に加え、優勝決定戦で21歳の平幕・熱海富士に対して立ち合いで変化して勝利を拾ったことが低評価につながっている。11月場所で連続優勝となっても、「よほどハイレベルな優勝でなければ昇進させないという空気がある」(相撲担当記者)という。
貴景勝に向けられた厳しい目線は、所属する常盤山部屋関係者も感じているところだろう。部屋が所在する東京・板橋区に住む好角家はこう話す。
「今年1月場所で優勝した時は、翌2月に板橋区のときわ台駅前のロータリーで、区民2000人を集めた優勝報告会を行ない、区長も出席した。貴景勝は挨拶で『自分の夢でもある横綱に向かって、勝とうが負けようが、気迫のある相撲を取る。千秋楽が終わった時に、心地よい満足感であふれるような15日間にしたい』と口にしていたが、その結果が先場所の優勝決定戦のような相撲ですからね。区民もがっかりしているためか、先場所の後には優勝報告会はなかった」
昇進問題を預かる審判部は今場所を「綱取り」と明言していない。初日の土俵を報じた日刊スポーツ(11月13日付)では「全勝や14勝などのハイレベルの優勝を果たせば機運は高まってくる」と書いている。一方で、NHK大相撲中継で2日目の解説をした芝田山親方(元横綱・大乃国)は「大関ならできれば13勝2敗以上で優勝してほしい」とコメントするなど、ハードルが少しずつ下がっている様子も窺える。
横綱・照ノ富士は3場所連続休場中。興行面を考えれば新横綱の誕生が心待ちにされる面もあり、「協会としても、連続Vで昇進見送りといった前代未聞の前例は作りたくないのだろう」(ベテラン記者)との見方もある。
そうしたなか、「貴景勝が、来年2月に都内の一等地にあるホテルの大宴会場を押さえているというのです」と話すのは二所ノ関一門関係者だ。
「2月と6月は地方巡業がないため、力士にとっては“イベントごと”のタイミング。貴景勝が横綱昇進パーティを見据えているとも考えられるが、さすがにそこまでは見通せないだろうから、“子連れの結婚披露宴”のためのものではないかとみられています。貴景勝は2020年11月場所前に元モデルの女性と結婚して子供もいるが、コロナ禍があったために披露宴がまだ開けていないのです」