“日本一泣ける4コマ漫画”として知られ、映画化もされた『自虐の詩』や、第17回手塚治虫文化賞短編賞と第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をダブル受賞した『機械仕掛けの愛』で知られる漫画家の業田良家氏。画業40周年を迎えた今年、初の原画展が11月23日から東京・銀座のヴァニラ画廊で開催される。
会場には、業田氏自らが厳選した漫画原稿の実物が300枚と、カラーの描き下ろしイラスト10点を展示。これまで表現してきた多様な作品世界が一つの空間で堪能できる、ファン垂涎のイベントだ。
一口に画業40周年と言っても、業田氏が世に送り出した作品群は実に幅広い。冒頭で紹介した『自虐の詩』はギャグが主体の4コマ漫画で雑誌『週刊宝石』に連載されたのが初出だが、単行本化、文庫化された後には多くの読者から「まるで大河ドラマを観ているよう」「読んでいるうちにいつの間にか泣いている自分に気付く」などの感想が続々と寄せられた伝説の作品。
近年の代表作である『機械仕掛けの愛』は、近未来を舞台に心を持った様々なロボットと人間が織り成すヒューマンドラマを描いた短編オムニバスだ。その続編である『機械仕掛けの愛 ママジン』は、お母さんロボット・ママジンが「孤児家」を切り盛りし、奮闘する様子を描く家族の物語。2017年にNHKでドラマ化もされた『男の操』では、売れない演歌歌手・五木みさおが、亡き妻や一人娘をはじめ愛する人々に支えられながら、“真心”を歌い続ける。
そのほか、業田氏の思索や哲学が表現された短編集『ゴーダ哲学堂』(是枝裕和監督で映画化された『空気人形』も収録)、『世直し源さん』、『詩人ケン』、『百人物語』などの原画も今回は多数展示される。