「当時は『モリカケ問題』が取り沙汰されている真っ只中で、『文春』の報道では、中村氏が『安倍昭恵さんを慰める会』を山口県の割烹料亭で開いたことが取り上げられていました。さらに同誌の概算によると、ポピンズは年間60億円以上の補助金を受け取っていたともされています。
中村氏は2013年に発表された『アベノミクス』の目玉政策として、待機児童解消加速化プランが打ち出された頃から政界に興味をもち始め、パイプ作りに邁進していたそうです。結果的に、昭恵氏とはふたりで飲みにいくほどの仲になったとか」(政治記者)
中村氏は昭恵氏をはじめとして、小池百合子現東京都知事や衆議院議員・野田聖子氏、参議院議員・森まさこ氏らなど名だたる女性政治家とも交流があり、実際にSNS上などでも共に写真にうつる姿が確認できる。
「2018年3月に東京のパレスホテルで開かれたポピンズ創業30周年パーティでは安倍昭恵氏が乾杯の音頭を取っています。また当時総務大臣の野田聖子氏なども同席し、そのパーティは中村氏の政界への繋がりを色濃く示すものだったと聞いています」(同前)
母娘の特別な関係性
創業社長として会社を拡大させてきた中村氏。『デイリー新潮』で報じられたパワハラ疑惑について、過去にそれを示唆する発言も残しているようだ。ビジネス誌記者が語る。
「ご本人もそう回顧されていますが、彼女は良くも悪くもワンマン社長でした。ポピンズでは『男も女もない』とか『徹底的にしごく』と、社員さんに対してはシビアな教育を行なっていたようです。また、説得するのに手間がかかることから、ご自身と価値観のあう人間をそばに置きたいとも明言しており、意見の違う人間は身近から遠ざけていたようにも見えます」
雑誌のインタビューでは、〈経営者としての私は、いわゆるワンマンだったと思います。それも、強烈に。〉〈新規事業の企画書はほとんど自分で書いてプレゼンをし、社員には有無を言わさず指示。その指示も、朝令暮改よりも早い朝令“朝”改状態。〉(日経ウーマン、2022年10月号)などと語っていた。
そうしたなか『週刊文春』の昭恵氏との報道があった2018年4月、社長のポストをフランスの大学院でMBAを取得した娘の轟氏に譲り、中村氏は会長職に就く。しかし実際には中村氏の社内における権力が衰えることはなかったようだ。
「中村さんは、娘の麻衣子さんを12歳からイギリスにある全寮制の私立学校に進学させましたが、その際に周囲から『育児放棄』『鬼のようだ』と言われたことを中村さんや娘の麻衣子さん自身がインタビューで明かしています。
麻衣子さんは母からの期待に応えるように慣れない環境で幼少期を過ごしました。その後、ロンドンの大学を経て、外資系証券会社やラグジュアリーブランドに勤務したのち帰国されています。
そんな彼女だからこそ、偉大な創業者である中村さんに不自由なく育ててもらった恩もあって、社長になったあとも経営方針などに口出しすることができなかったのかもしれません。母娘はお住まいも港区のマンションで隣り合った部屋でしたし、麻衣子さんは周囲にも『母の思いを汲みとって経営したい』と話していました。今回のパワハラについても、そうした親子の特殊な関係が影響しているように思います」(前出・ポピンズ関係者)
教育者としての責任があるこの母娘にとって、今回の報道は何を意味するのだろうか──。