フジテレビ系で放送の異世界転生ドラマ『パリピ孔明』の見どころのひとつは、本格的な音楽パフォーマンスのシーンだ。上白石萌歌が歌う楽曲はYOASOBIの幾田りらが手掛け、女王蜂のアヴちゃんは劇中で世界的歌姫を演じ、ステージ上で熱唱した。ほかにもGENERATIONS from EXILE TRIBEの関口メンディー、東京事変の長岡亮介、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦など、豪華アーティストが多数出演した。
後編では演出の渋江修平氏に、音楽パフォーマンスのシーンでのこだわりや異なる畑のタレントをドラマ起用する理由を訊いた。
聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第9回【前後編の後編。文中一部敬称略】。
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「音楽パートだけでも見られるように」のこだわり
中国三国時代の名軍師・諸葛孔明(向井理)が現代の渋谷に若き日の姿で転生し、歌手を目指す一人のアマチュアシンガー・英子(上白石萌歌)を軍師のごとく成功に導いていく『パリピ孔明』は、そのストーリーの通り、音楽ライブのシーンが重要な要素となっている。
全10話中6回の演出を担当している渋江修平は、モーニング娘。’15「青春小僧が泣いている」、在日ファンク「ぽいぽい」、King & Prince「シンデレラガール」や「Memorial」など数多くのミュージックビデオを手がけている。そんな渋江は本作のライブシーンについて次のように語る。
「ミュージックビデオの場合、カメラ目線でやることが多いんです。それは視聴者に向けて届けるという意味合いがあります。ドラマ内でのライブパフォーマンスはそれとは撮り方が変わってくるんですけど、ミュージックビデオと同様、“届ける”ということは意識しました。誰に向けて歌っているのかということです。
“うまく歌おう”ではなく“届けよう”として歌っているシーンになるように演出しました。歌にかんしては、聴いている側のリアクションも大事だと思うんですよね。それによって視聴者の方々も『こう聴けばいいんだ』とわかりやすくなるので」