コンビニに行くと新商品のビールも発泡酒も、軒並み「糖質オフ」ばかり。気がつけばパンも麺も、お菓子も……今や生活の一部となった感があるが、そもそも「オフ」って何なのか。「ゼロ」と何が違うのか。どれだけ信じていいものか。消費者庁に素朴な疑問を訊いてみると、意外な真相が浮かび上がってきた。【全3回の第1回】
「国は定めていない」
「(基準は)『ある』という言い方もできなくはないが、『定められていない』のほうが、感覚的には適切だと思います」
スーパーやコンビニで目にする「糖質オフ」や「糖質ゼロ」の商品には、どのような基準があるのか──本誌・週刊ポストの記者がそう訊ねると、食品表示を管轄する消費者庁の担当者は歯切れの悪い回答を繰り返すのだった。
「低糖質」を売りにする商品は、ビールや炭酸飲料、ジュースなどの飲料からパン、麺類、お菓子、ヨーグルト、インスタント食品まで様々ある。
伊藤忠グループのリサーチ会社・マイボイスコムが行なった「低糖質食品に関するアンケート調査」(昨年9月実施。回答者数1万125人)によると、直近1年間で「低糖質商品を購入した」と答えた人は全体の6割強。
糖質の摂り過ぎは血糖値の上昇を招き、肥満や糖尿病などにつながるとされる。同アンケートでは、食生活で糖質を気にする理由として、「生活習慣病、メタボの予防」や「血糖値の改善」「ダイエット」などが上位にあがった。
消費者の注目を集める低糖質商品だが、パッケージを見ると、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「低糖質」「糖質控えめ」「ロカボ(適正糖質)」など、表現が微妙に異なることに気づく。疑問を抱いた本誌記者が、消費者庁に「糖質の表示基準」について問い合わせたところ、「ご来庁いただいたうえ、説明したい」と恭しい返答があった。東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館を訪ねると、2人の担当者から冒頭のような説明が長時間続いたのである。