コンビニに行くと新商品のビールも発泡酒も、「糖質オフ」の言葉が日常に溶け込んできたが、そもそも「オフ」って何なのか。その基準はあるのか。消費者庁に訊くと、「糖質オフ」表記の基準は「各社に聞いていただかないとわかりません」と驚きの回答が。それを受け、本誌・週刊ポストは「糖質オフ」商品が注目される分野のうち、ビール類を販売する大手会社に取材した。【全3回の第2回。第1回から読む】
今回、本誌『週刊ポスト』が取材を行なったのは、伊藤忠グループのリサーチ会社・マイボイスコムが行なった「低糖質食品に関するアンケート調査」(昨年9月実施。回答者数1万125人)のアンケートで、飲料のなかで17.2%と最も購入者が多かったビール類(発泡酒・第3のビール含む)の大手、サントリー、キリン、サッポロ、アサヒの4社だ。
4社とも「100ml当たり0.5g未満」という食品表示基準が定めた「糖質ゼロ」の商品を販売する一方で、「糖質オフ」商品があるのはサントリー、キリン、サッポロの3社。
そのうち、サントリーは「金麦〈糖質75%オフ〉」について「『金麦』と比較して糖質が75%少ないため、糖質75%オフと表示している」(同ホールディングス広報部)と回答。基準は明快で、「金麦」を飲んでいる人が「金麦〈糖質75%オフ〉」に切り替えれば、糖質の摂取量を4分の1に抑えられるというものだ。
一方、キリンの「淡麗グリーンラベル」と、サッポロが10月17日に発売を開始したばかりの新商品「サッポロ生ビール ナナマル」は、「日本食品標準成分表」の内容を比較対象にしているとの回答だった。この「日本食品標準成分表」とは、文部科学省の審議会が作成した公的な資料で、各食品の標準的な成分量がまとめられているデータである。成分表の冊子はA4で652ページに及ぶ。
食品や飲料が、「〈アルコール飲料類〉(醸造酒類)ビール 淡色」などと細かく分類され、「100g当たり39g」などと成分が示される。この成分表に「糖質」の量は明示されていないが、文科省の「Q&A」に〈炭水化物から食物繊維を差し引いて(中略)「糖質」にあたる量を計算することは可能〉と説明されている。キリンとサッポロの2社は、その計算をもとに標準値を算定し、そこから「糖質70%オフ」であるとしていた。