コンビニに行くと「糖質オフ」「低糖質」を謳う飲食料品が並ぶ。今や生活の一部となった感があるが、そもそもこれらの基準は何なのか。本誌・週刊ポストは食料品のうち、パン類、カップ麺などの即席麺について、大手各社に取材した。【全3回の第3回。第1回から読む】
ビール類よりも詳細な基準
伊藤忠グループのリサーチ会社・マイボイスコムが行なった「低糖質食品に関するアンケート調査」(昨年9月実施。回答者数1万125人)のアンケートで、食品として最も購入者が多かったパン類(15.8%)の大手3社に、「低糖質」「糖質ひかえめ」の基準を尋ねた。
フジパンは、糖質30%オフの「低糖質クロワッサン」について「日本食品標準成分表2020年版(八訂)に記載された『クロワッサンレギュラータイプ』を基準にしています」(マーケティング部)と回答。前出のビール2社(キリン、サッポロ)と同じ考え方で、「この方法が業界として一般的です」とのことだった。
実際、山崎製パンと敷島製パンも同様の基準を採用しているとした(別表の回答で各社が基準とする成分表の版が微妙に異なるが、食パンの成分量の記載に大差はない)。
ここまでは、ビール業界でも同様の基準を採用しているが、パン業界の回答には別の観点が含まれていて興味深い。
別途取材を行なったビール大手からは、「何と比較したか」のみが回答されたが、大手パンメーカーは「比較対象から何%以上減っていれば『糖質オフ』と謳えるか」の基準にも言及したのだ。
大手パン3社は食品表示基準において「糖類オフ」と表記できる基準を転用していると回答した。
紛らわしいが、「糖類」は「糖質」のさらに狭義の分類で、ブドウ糖などの成分を指す。食品表示基準には「糖質オフ」について定めがない一方、「糖類オフ」の食品は「比較対象品から100g当たり5g以上の低減(かつ低減率25%以上)」を基準のひとつとしている。大手パン3社はその基準を「糖質」にも当てはめていると説明したのだ。
当然ながら、ビール類よりパン類のほうが糖質の量は圧倒的に多い。糖質オフを謳う基準についてより詳細に説明しようとする姿勢が窺える。