『80歳の壁』など数々のベストセラーを生み出す和田秀樹医師が、「58歳から元気になる方法」をテーマに、現役世代の悩みに答える。それまでは仕事メインの生活を続けてうまくやってこれた夫婦でも、定年後に自宅で年中顔を突き合わせる生活が始まると、途端に仲違いしたり、ストレスが高じて病気になったりするケースもある。そうした悲劇を避けるために和田医師が勧めるのが、子供が独立したタイミングや定年前などに行う「夫婦での会議」だ。そこではどんな話し合いをすればいいのか。
* * *
夫婦での会議で「交渉」「約束」をする
長く続く定年後の生活に向けて夫婦がほどよい距離感で生活を続けるには、それまでの「夫とはこういうもの」「妻とはこういうもの」という役割分担や関係性を見直す必要があります。そのためには、子供が就職や結婚で家を出たりして夫婦2人の生活が始まるタイミングや、60歳の節目、または定年の時など、一度でもいいので夫婦での会議をすることをお勧めします。
そこで夫婦がお互いに言いたいこと、相手に要求することを伝え合い、交渉するのです。例えば、「日中の外出はお互いに干渉しない」「旅行など外泊する場合は事前の相談をする」「異性と夕飯に出かけるのはOKとする」など、具体的なルールを決めるのはどうでしょうか。
そのなかで、夫が妻に「俺は家事が苦手だから、そこはお願いしたい」と役割分担を改めて依頼してみたり、「物言いがきついことがあるので、少し優しくしてくれないか」などソフト面の改善を希望してみるのもいいでしょう。
お互い50代後半まで生きてきて、今さら口の利き方や性格を変えるのは難しいかもしれませんが、ルールを決めてそれに従って新しく生活することで、ほどよい距離を保ち、夫婦生活がスムーズに行くことが多いように思います。