日本中の注目を集めた羽生結弦の結婚は、わずか105日で終焉を迎えた。離婚発表文では「お相手」と表現し、1度も「妻」と呼ぶことなかった羽生の離婚劇。羽生はなぜ離婚を選択したのか。【前後編の後編。前編を読む】
昨年7月にプロスケーターに転向した羽生。今年1月には、自身のマネジメントや肖像権管理を行う法人の取締役に、姉と同時に就任した。さらに結婚後の9月には、羽生の両親も取締役に加わった。代表を弁護士が務め、ほかに取締役に名を連ねるのは、長らくマネジャー役を務め、同社の窓口になっている女性のみ。羽生のファミリー企業であるのは明白だ。別のスケート関係者が話す。
「ですが、そこにAさんの名前はないんです。家族全員が名を連ねているのに自分だけが入っていないということに、疎外感を覚えても仕方ないでしょう」(マネジメント会社は、Aさんが取締役に入っていない理由について、「回答を控える」とした)
法人登記における取締役の就任は、何も名前が記載されるだけではない。取締役に就任することではじめて、役員報酬を得ることができるようになるのだ。
「“羽生ブランド”が生み出すお金は莫大です。もちろん、誰がどれほどの役員報酬を得ていたかはわかりませんし、もしかしたらゼロという人もいたかもしれませんが、それでもAさんが自分の名前がないことで、羽生さんの活動の支えとして認められていない、と思ってしまってもおかしくありません」(前出・別のスケート関係者)
そもそも、羽生は結婚発表時にも、「入籍」の一言で済ませ、まるで「Aさん隠し」のような方針を貫いた。そのため、当初Aさんの存在はベールに包まれ、さまざまな臆測が飛び交った。結婚発表から1か月ほど経った9月中旬、Aさんの素性を実名で報じたのは、Aさんの故郷・山口県の地元紙だった。
「報道以降、その新聞社には羽生さんのファンと思しき人たちから“本人が名前を出していないのに、なぜ報じたんだ”という意見が多く寄せられたといいます。さらに、羽生さんの離婚発表文に《許可のない取材や報道がなされています》と記されたことで、現在でも抗議の電話が殺到しているといいます」(同紙関係者)
同紙は、離婚発表直後、ネットメディア『現代ビジネス』の問い合わせに、次のように答えたという。
《羽生さんはあれだけの有名人。そして、奥さんとなったAさん(注・元記事では実名)も地元では有名なバイオリニストです。(中略)その事実を報じたまでです》
《プライベートが、プライバシーが、とメディアを批難する。羽生さんは少し前に写真集を盛んに宣伝していましたが、都合のいいときだけメディアを使い、都合が悪ければメディアのせいにする》
《彼女の名前が公になり、取材が殺到したら『じゃ離婚します』と。『いや、ちょっと待ってくれ』という思いです。我々からすれば地元の子が泣かされた。最後までAちゃん(注・元記事では実名)を守ってくれよ。男なら最後まで守り抜けよ。(中略)ひとりの人間を不幸にしたことに対する感覚が薄すぎるのではないか》
この指摘は大変に物議を醸し、現在に至るまで大論争となっている。
羽生は離婚の発表文で、Aさんを《一般人》と表現したが、地元周辺では「町が生んだスーパースター」と言われるほどに慕われていた。
「むしろ地元の誇りでさえあったんです。それなのに羽生さん側の都合で“ただの一般人”扱いして、結果的に彼女の実績まで隠してしまったのは、これまでの彼女の人生を否定されているような気がして、Aさんがとても気の毒に感じました」(地元住民)
かつて、羽生は自身のプライベート報道に対して苦言を述べたことがある。
「もちろん、プライバシーが脅かされてはいけません。しかし、彼ほどの国民的スターが結婚したとなれば、関心を集めるのは避けられません。隠そうとすればするほど、大衆の“相手が誰か知りたい”という気持ちを高ぶらせてしまった。最初に一度きりの会見を夫婦で開くなど、周囲が初期対応を指南できればよかったのかもしれません」(テレビ局関係者)
実際、11月に開催されたアイスショーでは、観客の多くが会場の「貴賓席」に視線を送り、新妻の姿を探した。貴賓席に、それらしい女性のシルエットが見えたことで「妻が来ていた!」というSNS上での書き込みが騒動に発展したほどだ。普段“節度”を持って羽生の応援をしているはずの熱心なファンでさえそんなものなのだから、ライト層の関心がどう動くかは容易に想像できただろう。
「羽生さんは現役時代、海外生活を送っていました。Aさんも、音楽活動の中で海外に行った経験があります。莫大なスポンサー収入もあるわけで、経済的にもしばらく海外生活をするのに充分な蓄えはあったはず。ストーカー被害も、以前から行きすぎたファンの蛮行として認知されていましたから、《家から一歩も外に出られない状況》に陥る以前に、取れる対策はなかったのでしょうか」(スポーツ紙記者)
ただ、周囲が羽生たちを取り巻く状況を、一枚岩で改善しようとしていたかは疑問が残る。
「結婚以降、羽生さんをトップにしたスポーツ紙は、以前ほどの売り上げにはならなくなっていました。やっぱり羽生さんは“アイドル”ですから、結婚は如実に影響した。羽生さん人気で潤っているビジネスもあるわけで、そういった人たちにとっては、羽生さんが円満な結婚生活を送っていることは、別に歓迎すべきことではなかったんです」(前出・スポーツ紙記者)
同様に、離婚に至るまでの早さを気掛かりに思った人もいたようだ。羽生は発表文で、離婚の理由はあくまでも相手の幸せを願ってのことと取れる主張をしている。だが、離婚はすべてをなかったことにできる、“都合のいいリセットボタン”ではない。
「Aさんの“羽生の元妻”という肩書は一生消えません。彼女の戸籍には残ります。それで、彼が言う《制限のない幸せ》が戻ってくるわけがないじゃないですか。以前は地元小学校で無料ライブなどをしていましたが、もう田舎ではそういった活動もできないでしょう。離婚という選択肢の前に、一度一緒に人生を歩もうと誓った妻に対して、ほかにできることはなかったのか、疑問でなりません」(別の地元住民)