国内

【全文公開】河村建夫・元官房長官、馳浩氏の“機密費を五輪招致に使用”発言に重大証言 「ああいう形で大っぴらにするのはマズイ」

河村建夫・元官房長官が機密費に関して重大証言

河村建夫・元官房長官が機密費に関して重大証言

 これまで語られてこなかった“ブラックボックス”である「官房機密費」について思わぬところから重大発言が飛びだし、大きな注目を集めている。その渦中、麻生太郎政権時の官房長官として機密費のすべてを知る人物が、「機密費と五輪」の疑惑について口を開いた──。森友学園問題をスクープし、安倍政権の疑惑を追及してきたジャーナリスト・相澤冬樹氏がレポートする。【全文公開】

「語らないものなんだ」

 秘密のベールに包まれた「官房機密費」(正確には内閣官房報償費)。その実態を垣間見せる発言が、世間を騒がせている。

 馳浩石川県知事が講演で、2013年に開催が決まった東京五輪の招致活動に自民党の招致推進本部長としてあたった経験を語った。その場で国際オリンピック委員会(IOC)委員の現役選手時代の活躍を載せたアルバムを、「官房機密費を使って1冊20万円で作成して渡した」と明かしたのだ。

 安倍晋三首相からは「必ず勝ち取れ」「金はいくらでも出す」「官房機密費がある」などと言われた裏話も披露。ところが報道で世間の批判を集めるや、「発言を撤回する」と述べたきり一切の説明を拒んでいる。

「馳さんは当たり前のことという軽い感覚で話したんだと思うよ」

 そう語るのは15年前、麻生太郎政権で官房長官を務めた河村建夫氏(81)だ。山口県議会議員から1990年の総選挙に自民党公認で初当選。その後、10期連続当選し文部科学大臣などを歴任し、2年前に政界を引退した。

 筆者はNHKでの初任地だった山口放送局の頃から33年にわたって河村氏と付き合いがある。

「官房長官は報償費(官房機密費)のことは語らないものなんだ」

 河村氏はそう断わりつつも、五輪招致と機密費のありようについて口を開いた。官房長官経験者が機密費について語るのは極めて珍しい。

 河村氏は騒動の発端となった馳氏と、五輪招致のための外遊をともにしたことがあるという。

「安倍内閣が五輪招致を進めていた時、馳さんと一緒にハンガリーに行きました。私はハンガリーのIOC委員の担当、彼は北朝鮮の委員の担当でした。当時すでにIOC委員に対して大っぴらに招致活動するのはマズイという空気だったから、日本大使館でハンガリーのリスト・フェレンツ音楽大学に留学中の日本人学生のコンサートを催して、そこにIOC委員も招いて会食をしました。

 この委員の奥さんが1964年の東京オリンピック体操の銀メダリストで、そこで東京五輪への支持をお願いした。今思えばあの費用も報償費から出たのでしょうか? あの時、馳さんはアルバムを作ったという話はしていなかったし、私も現物を見ていません。だが、私の経験からしてもありうる話だとは思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン