まだ39歳という若さで語るには早すぎるように見えるが、このところの韓国メディアは北朝鮮の金正恩氏の後継者問題で持ちきりである。理由は、娘であるキム・ジュエ氏(推定10歳)が金政権の世襲4代目として浮上してきたからだ。
約1年前の登場以降、メディアを通じてたびたび金正恩氏に同行する姿が報じられてきたが、最近は「次の指導者」のように振る舞い、周囲に扱われる姿が目立っている。北朝鮮の空軍記念日である11月30日、ジュエ氏は金正恩氏と一緒に空軍の訓練を視察し、父親と同じく革のコートにサングラスの姿で、父親より前に立つ写真が公開された。
朝鮮日報は、〈北朝鮮体制の特性上、金正恩氏が後ろに立つ写真が公開されるのは非常に異例だ〉としている(2023年12月4日付)。同紙はさらに、韓国大統領室国家安全保障室の趙太庸(チョ・テヨン)室長が、KBSの番組で〈つい先日まで『キム・ジュエは果たして後継者なのか』と考えていたとすれば、今は『キム・ジュエは後継者のようだが、それは確かか』と確認する段階だ〉と述べたと伝えている。
こうした報道の中で、特に注目されているのが、北朝鮮の党組織幹部がジュエ氏を「新星女将軍」と表現したという情報だ。米政府系ラジオの自由アジア放送(RFA)韓国語版は、2023年11月27日付で、北朝鮮は偵察衛星発射を祝う党組織指導部の講演会で、〈「宇宙強国時代の未来は、朝鮮の新星女将軍によって今後さらに輝くだろう」と強調した〉と伝えている。
党幹部が公の場で「新星女将軍」と呼称したとすれば、正恩氏が最高指導者に就任する前に使われた「新星将軍」と同じ位置づけになるので、極めて重要な意味を持つ。
しかし、北朝鮮問題に詳しいアジアプレス大阪事務所代表の石丸次郎氏はこういう。
「日韓の大手新聞や通信社、テレビなどが、RFAの記事を引用して『新星女将軍』と呼称したと報じていますが、これは誤報の可能性があるので注意が必要です」
いったいどういうことか。