歴史のある寺社が数多く存在し、パワーが満ちている古都・京都。そんな京都で生まれ育ち、本誌『女性セブン』の連載も大好評の占星術研究家・鏡リュウジさんが、星にまつわるとっておきのスポットを案内する──。
【案内してくれる人】
占星術研究家・翻訳家・鏡リュウジさん/京都出身。京都文教大学客員教授。「東京アストロロジー・スクール」主幹。本誌・女性セブンにてエッセイ&占い『星々からの手紙』を連載中。著訳書多数。
世界に開かれた古き良き都。星のかけらを訪ねてみて
「その長い歴史から、ともすると閉鎖的と思われがちな京都ですが、シルクロードの通過点であり、そこかしこの名所旧跡に異文化からの影響が見てとれる、世界に開かれた街という側面もあります。星や天文学にまつわるものを探してみると、日本での占星術のルーツとなる陰陽道ゆかりの場所や遺物などが実は驚くほどたくさんあるんですよ。その中のおすすめの場所を、今回ご紹介します」と鏡リュウジさん。
街中にたくさんの寺社があるため、京都の人たちはお参りのルールなどにもあまりこだわらず、日常の散歩コースのように訪れるという。
「神様には感謝を伝えてと言われますが、願い事もしちゃいますしね(笑い)。ルールやマナーを知ることで神社などへ行きやすくなる面もあるので基本を知るのはいいのですが、気にしすぎると大変ですよね。京都ではそんなとき“かんかんにならんとき”と言うのですが、決まりに縛られず気軽に立ち寄ってみるのもいいですよ」(鏡さん・以下同)
2024年は「風」の年。流れるパワーを受けとって
「2024年は十二支では『辰年』。実は龍が好きでリュウジというペンネームにしたくらいなので辰年は個人的にも楽しみなんです」
占星術では、幸運の星が5月下旬に牡牛座から双子座へと移動する一年になる。
「牡牛座は『地』、双子座は『風』のパワーをもつ星座。年明けから春までは自分の中に根付くパワーをしっかり確かめて、好きなこと、得意なことを伸ばすのが鍵。そして初夏以降はさまざまな情報に触れ、周囲と積極的に交流して新たな刺激を得ることで開運していく年です」
鞍馬寺や貴船神社は、京都市内からはやや遠い山間の地にあるが、幼き牛若丸(源義経)が命を長らえるために預けられ、当時の政治から離れて育ちながらも、長じて出奔、再び表舞台へ戻ったように、しばし現実から離れられる場所でもある。
「霊験あらたかといわれ、多くの人の崇敬を集める場所であると同時に、日々忙しない現代の我々が少しの間、現世から離れて自分の心と向き合うのには最適。特に年始の目標を考えたり、心をリセットしたいときに足を運べば、自分の本心を再発見できるはず。心を整え、あらためて市内へ戻れば、見える景色が一変していることでしょう」
【鞍馬寺】京都府京都市左京区鞍馬本町1074
天狗伝説で有名な鞍馬山にあり、650万年前、金星から地球に霊王・護法魔王尊が降り立った、というのが鞍馬寺の縁起。本殿金堂前の石床「金剛床」は星曼荼羅を模していて、宇宙のエネルギーが集まるとされる。
「奥の院参道は自然豊かで神秘的な雰囲気があり、おすすめです。牛若丸と天狗の修行の息遣いを感じるような『奥の院』にある義経公(牛若丸)の息つぎの水や木の根道、魔王尊が祀られている魔王殿へもぜひ訪れて」
《鏡さんの貴船イチオシスポット》
『貴船 右源太』
「貴船は夏の川床が有名ですが、冬に訪れるのが通なんです。そしておすすめがこの氣生根鍋。“気が満ちる”とも言われ、罰が当たりそうな贅沢鍋ですが、僕はその罪悪感が帳消しになるような祝い事があった時にいただいています」
右源太CEO・鳥居宏行さんは、貴船の冬の名物鍋『氣生根鍋』についてこう語る。
「丸2日かけて下煮したすっぽんそのものの出汁で牡丹鍋を作ります。貴船の雪景色を見ながらぜひ味わっていただきたいです」
住所:京都府京都市左京区鞍馬貴船町76番地
時間:11:30〜22:00(※3日前までに予約)