『80歳の壁』など数々のベストセラーを生み出す和田秀樹医師が、「58歳から元気になる方法」をテーマに、現役世代の悩みに答える。50代後半になると、80代、90代の老親の介護問題が重くのしかかってくる。自分と妻の親、ダブルで対処しなければならないケースも少なくないだろう。そんな時、夫婦はどう分担し、協力できるのか。和田医師が語る。
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自分の親の介護は「無理に手伝わせてはいけない」
現在58歳という世代の多くは、親が80代以上という人が大半でしょう。離れて暮らしているにせよ、同居しているにせよ、老親は日常生活で不自由が生じ始め、子供世代の1人が、あるいはきょうだいが交代で面倒をみるようなケースが多いようです。
嫁姑関係が良好であれば、妻が自ら積極的にかかわったり、気にかけてくれることもあるかもしれません。そうしたケースでは、義理の親を介護してくれる妻に感謝しつつ、夫婦2人で協力し合うことができるので、問題は少ないでしょう。
しかし、義実家との関係が良好とまではいかず、本心では「できれば関わりたくない」と思っている妻の場合はどうでしょうか。夫が自分の親の介護を、嫌がる妻に無理に頼んだりすることは、夫婦関係をわざわざ壊しにいくようなものです。
一口に「親の介護をする」と言っても、どの程度の身体的介助を必要としているか、認知症の進み具合はどうか、などにより、直面する現実がまるで異なります。年々衰える老親の世話を、妻ひとり、または夫婦で引き受けることが、後々大きなストレスになることは想像に難くありません。
例えば、トイレや入浴など、身の回りのことはある程度自分でできるが、食事の支度や掃除、買い物のための外出など、親が自分の身体を動かすことが困難になってきたという段階なら、それを担ってくれるプロに頼むのがいいでしょう。民間の家事代行サービスもあるし、ホームヘルパー(介護保険制度が利用できれば費用負担は1割か2〜3割)に依頼することもできます。
ニーズや要介護度などに応じて、ホームヘルパーには食事や入浴、着替え、排泄など身体に触れる介助も頼めますし、買い物や食事の調理、掃除など家事の援助を受けることも可能です。さらに、通院などの付き添い、移動の援助もしてくれます。