国内

《没後30年》田中角栄が“最後の弟子”石破茂氏に語った「派閥は永遠ではない」の真意「選挙では田中の悪口を言って当選してこい!」

「田中角栄の最後の弟子」と称する石破茂・衆議院議員(時事通信フォト)

「田中角栄の最後の弟子」と称する石破茂・衆議院議員(時事通信フォト)

 没後30年となった今太閣・田中角栄。毀誉褒貶はあれど、国民の記憶にいまも残り続ける「角さん」の姿は、現代の為政者にこそ求められるものかもしれない。自らを「田中角栄の最後の弟子」と称する、衆議院議員の石破茂氏が、当時の田中角栄について語った。

 * * *
 私は自分を「田中角栄の最後の弟子」だと思っています。先生には多くのことを教わりましたが、今も肝に銘じているのは、「握った手の数、歩いた家の数しか票は出ない。余計なことは考えずにともかく歩け」という言葉です。初出馬した選挙の時、地域の支援者の方々と一緒に今日は200軒、次の日は300軒とひたすら選挙区を歩き回りました。5万4000軒歩いて、獲得したのは5万6534票。まさに先生の言葉通りの結果でした。

〈石破氏の父・二朗氏は田中角栄の盟友で、鳥取県知事、参院議員、自治大臣を歴任。1981年に亡くなると角栄が葬儀委員長を務めた。三井銀行のサラリーマンだった石破氏は、父の死後、角栄に背中を押されて政治家になることを決めた〉

 葬儀を終え御礼の挨拶に行くと、角栄先生は、「鳥取の葬式に来てくれた2500人全員に、名刺持参で会葬御礼に回れ。それが選挙の基本だ」と言うんです。当時私は24歳の銀行員。国会議員になる器でもないし、参院選に出るには被選挙権もありません。そう申し上げると、角栄先生が机をバーンと叩き、「誰が参議院に出ろって言った。君は衆議院に出るんだ。いいか、よく聞け。政治家ほど面白い仕事はないぞ。日本で起こる全てのことはこの目白で決めるんだ!」と仰る。24歳の銀行員と、闇将軍の田中角栄が1対1ですよ。震えましたね(笑)。そこで道が決まりました。

〈石破氏は銀行を退職、田中派の派閥秘書として政治修業を積み、1986年衆院選に出馬した〉

 選挙に出るため暇乞いに目白の田中邸を訪ねると角栄先生は非常に厳しいことを言われた。

「お前みたいなあんちゃんがなぜ自民党から立候補できるのか。1億8000万円安いからだ」と。その意を問うと「(地元の有権者は)石破茂は知らなくても親父さんのことは知っている。あの石破二朗の倅ならば、そんなに変なやつじゃないだろうと安心感もある。他の候補ならその安心感を得るまでに約1億8000万円かかるが、お前はそれが要らないから出られるんだ」と言うんですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
オンラインカジノを利用していたことが判明した山本賢太アナウンサー(ホームページより)
フジテレビ・山本賢太アナのオンラインカジノ問題で懸念される“局内汚染”「中居氏の問題もあるなかで弱り目に祟り目のダメージになる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン