1980年代の巨人で熾烈なエース争いを演じた江川卓(68)と西本聖(67)。現役時代は「不仲」とも報じられた二人が、メディア初対談で今だから明かせる秘話を語り尽くす。(聞き手/ノンフィクション作家・松永多佳倫)【全3回の第2回。第1回を読む】
江川:初登板の時のことって覚えてる?
西本:2年目の1976年、甲子園球場での阪神戦が一軍初登板。そこで(マイク・)ラインバックにホームラン打たれた。
江川:え? ラインバックに打たれたの?
西本:スリーラン。
江川:うそ? 一緒だよ。俺も初登板でラインバックに逆転スリーラン打たれた。初めて聞いたわ。ラインバックってすごい選手だったんだな(苦笑)。
西本:初めて一軍のマウンドで投げた時って地に足がつかないっていうか、キャッチャーまでの距離が遠く感じなかった?
江川:なんかふわふわしている感じ。覚えてるような覚えていないような不思議な感じだよね。そういえばニシって、登板前にご飯をお腹いっぱい食べるよね。
西本:お腹すいたら力が入らないタイプだから。
江川:俺は正反対でまったく食べない。お昼に家で食べてからは終わるまで食べない。だから7回くらいで、マウンドで腹減ったなと思う時あるんだけど、食べたらダメ。
西本:一軍でデビューしたての時、ブルペンにバナナが置いてあったから食べていたら、監督の長嶋(茂雄)さんと目が合った。最初は見逃してくれたんだけど、二日連続食べているのを見られた時は、ミーティングで「バナナ食ってる馬鹿がいる」って怒られた(笑)。
江川:今なら普通のことだけどね。