臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、鈴木淳司前総務大臣の「キックバックは文化」発言について。
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ついに疑惑が事件になった。東京地検特捜部が19日、政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑に関し、自民党安倍派と二階派の事務所に強制捜査に入ったのだ。自民党の茂木敏充幹事長は会見で「このような事態に至っていることは大変遺憾に思っている」と述べたが、同じ自民党とはいえ派閥が違えば、自分たちとは関係のない他人事みたいな言い方だ。
岸田文雄首相は会見や囲み取材などで、派閥を”派閥”ではなく”政策集団”と呼んでいる。政策集団と聞けば、大層立派なシンクタンクのようなイメージを持ちそうになるが、政策や理念、主張などを共有する人々によって形成された小集団のことだ。「派閥」という言葉をネットでその意味を調べると、主義主張や意見だけでなく”出身や縁故、利害などで結びついた人々による排他的な小集団”とある。派閥には利害関係による結びつきも含まれるのだ。
強制捜査が行われた安部派は、清和政策研究会という名の自民党最大派閥で99人が所属、二階派は志師会で約40人超だという。安倍派ではこの疑惑を受けて、14日に岸田政権を支えていた閣僚たちが次々と辞任。その中の一人が鈴木淳司総務相だ。総務省といえば、政治資金規正法を所管する省庁である。そのトップがこの疑惑問題で辞任するというのだから、岸田首相の適材適所はどこまでもピタリとはまる。
在任中は一貫して派閥からのキックバックを否定していた鈴木氏だが、15日、新旧大臣の引継ぎで訪れた総務省で、その言葉を一転させた。報道陣に囲まれると、派閥からのキックバックを認め、収支報告書に記載していなかったことを明らかにした。さらに「この世界で(還流を)文化と言えば変だがその認識があったと思う」と発言したのだ。