自民党派閥の政治資金パーティーで、集めた収入を政治資金収支報告書に適切に記載しなかった問題をめぐり、党内最大派閥の安倍派(清和政策研究会・所属議員99人)とともに、政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部からの強制捜査が入ったのが第5派閥の二階派(志帥会・同40人)だ。
パーティー券利用の裏金づくりの手口は共通しているが、安倍派の政務三役10人を交代させた岸田文雄首相は、不可解なことに二階派の2閣僚は続投させた。この取り扱いの「差」は何か。その境界を探ると、長年、二階派の会計責任者を務めた人物が最近になって事務所を去っていた事実にも突き当たった。
捜査が進む安倍派と二階派は年に1度、派閥のパーティーを開催している。所属議員には当選回数や役職経験によってパーティー券(1枚2万円)の販売ノルマが設けられ、各議員がノルマを超えて集めた販売収入分は議員側に還流(キックバック)していた。大手紙社会部記者が語る。
「両派とも議員ごとのノルマやキックバックの金額を記載したリストを作成していた。その総額は安倍派では5年間で5億円、二階派でも数億円単位に上ると見られています。両派の会計責任者はいずれも還流の事実関係は認めていて、とくに安倍派の会計責任者は『記載しなければいけないことはわかっていた』と違法性の認識を供述している」
違法な不記載の判断を国会議員でもない職員が独断で決めるとは考えにくい。派閥の会長や事務総長といった国会議員の共謀まで認められるのかに注目が集まる。