口は災いの元、になることが実に多い昨今、コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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「正しいこと」が好きな人たちは、何がやりたいのでしょうか。「正しいこと」を追求すれば、「みんなが生きやすい正しい世の中」になると本気で思っているのでしょうか。いや、さすがにそこまでマヌケではないですよね。
何かを叩く気持ちよさを求めているのだとしたら、まだ理解できます。しかし、そういう人たちの目先の快感と引き換えに、世の中がどんどん息苦しく、ダメな方向に運ばれてしまうのは看過できません。
蟷螂(とうろう)の斧やごまめの歯ぎしりの類かもしれませんが、全力で異を唱えさせてください。そう、昨今話題の「挨拶とスカートは短いほうがいい」についてです。面白いかどうかは別として、この程度の軽口が、なぜ寄ってたかって責められなければならないのか。はたして市長が辞職勧告決議案を出されるようなことなのか。
「いやいや、令和の今はダメでしょ」「セクハラに当たるのでは」と、世の中の風潮を自動的に内面化してジャッジするのではなく、自分の頭で考えてみていただきたい。「挨拶とスカートは短いほうがいい」という言葉のどこに、どんな問題があるのか。世の中の風潮こそが自分の意見だと思い込んでいる人には、無理難題かもしれませんけど。
一連の「挨拶とスカートは短いほうがいい騒動」について、ざっと振り返っておきます。福岡県中間市の福田健次市長が、10月に北九州市で開かれた会合で「挨拶とスカートは短いほうがいい」と発言し、批判を受けて謝罪する展開になりました。
かつて、お笑いコンビの博多華丸・大吉がこのフレーズをギャグとして使っていたことから、ネットの一部で「華丸・大吉のパクリだ」という声が上がります。もちろん、このフレーズは大昔からあり、スピーチのつかみの定番ということを踏まえて彼らがギャグにしたもので、パクったパクられたという話ではありません。