医学の進歩は検査の分野にも及んでおり、その代表格が生まれ持った病気や体質を知ることができる「遺伝子検査」の開発だ。しかし、谷本さんは信頼しすぎるのはよくないと言う。
「新しい検査であるゆえに未知の部分も多いうえ、“がんになるリスクが○倍”などの結果が出たとしても、現状は対処が難しいことが多い。結果を深刻に受け止めすぎなければいいですが、不安をあおられる可能性もあり、安易に調べるのはやめた方がいいでしょう」
コロナ禍を経て登場した「オンライン健診」も同様だ。自宅で採取した血液や尿を医療機関に送り、オンラインで医師と面談しながらがんや生活習慣病などのリスクチェックができると話題だが、医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは「信ぴょう性は不明」と一刀両断。
「オンラインの健康診断や健康相談は気軽に受けられるので利用する人も多いですが、顔色など、細かな体調を直接見ることができないため、信頼度は低い。血液を採って郵送する健康診断の結果は別として、そのほかのオンラインの診察では正確さが期待できません」
最新の知見によって万能でないことが明らかになった検査もある。二本松眼科病院副院長で眼科専門医の平松類さんは「眼圧検査は見逃しが多い」と指摘する。
「かつては眼圧検査を受ければ緑内障が見つかるといわれていましたが、眼圧が高いタイプの緑内障は全体の3割程度。残り7割は緑内障でも眼圧が正常なので見逃されてしまいます。緑内障に限らず、網膜色素変性症など失明の原因となる病気のほとんどは、末期まで視力が低下しないので発見しづらい。一般的な健診で受けられる視力検査や眼圧検査に加えて、40才を過ぎたら眼底カメラの検査を受けることをおすすめします」
※女性セブン2024年1月4・11日号