「推し」という言葉が一般的になった今日、存在感を増しているメンズアイドル。トップアイドルは多くの人々の夢を集める一方で、「メンズ地下アイドル(以下、メン地下)」の現場では“生き残り”をかけたシビアな現実が広がる。
その実態を解き明かすため、地下アイドルを含む界隈に頻繁に潜入しているグラビアアイドル兼ライターの吉沢さりぃ氏と、綿密な取材で「メンズアイドル」の実態を浮き彫りにした『夢なし先生の進路指導』の作者・笠原真樹氏が、過去に「メン地下」として活動してきた二人の男性にインタビュー取材を敢行した。【前後編の後編。前編から続く】
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吉沢(以下、吉沢):ファンの子が「推し」のアイドルと100枚有料のチェキ写真を撮ることを、業界では「100チャレ」といいます。元地下アイドルのAさんBさんには、10万円程度かかる「100チャレ」を競ってする女性ファンがついていたと聞いて、驚きでした。実際、100チャレができる子って普通のOLさんとかでは難しくないですか? 私の友人は風俗勤務でした。
元アイドルA(以下A) :僕のファンの子で、看護師から風俗堕ちした子がいました。
笠原真樹(以下笠原):看護師さんは、一般職でも高収入な部類に入ると思うんですが。
A:僕のライブだけでなく、カフェバーにもきてお金を使ってくれていたんで、足りなかったんだと思います。
元アイドルB(以下B) :なんで風俗嬢になったってわかったの?
A:バイト(カフェバー)終わりに酔ったテンションで一緒に働いていたメンバーと「風俗行こう〜!』って話になって。それで、たまたま行った風俗店に俺のファンが働いてたっていう。
笠原:すごい偶然ですね。
A:メンバーが、他人のそら似だろうと指名したら本人でした。
B:うわぁ~~。
A:結局もう僕のライブに来てチェキを撮ってくれることはなくなりました。
吉沢:指名したメンバーさんに推し変したわけでもなく?
A:ライブには一切来ずに、たまたま休みの日にバイト先に忘れ物取りに行ったら指名したメンバーと楽しそうに飲んでました……。
編集:それはショックですね。
吉沢:使う額が大きいファンが1人減るだけで大打撃だ……。
A:そう! 急にチェキ買わなくなるファンとかいるとめっちゃ病む!