ビジネス

ダイハツ全車種出荷停止 買い換えを決めていた主婦「納車か、キャンセルか」と言われ困惑

ダイハツ工業の試験認証不正に関する記者会見で陳謝する奥平総一郎社長(左)とトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長(時事通信フォト)

ダイハツ工業の試験認証不正に関する記者会見で陳謝する奥平総一郎社長(左)とトヨタ自動車の中嶋裕樹副社長(時事通信フォト)

 日本の「ものづくり」が称揚されるようになった一方で、2010年頃から、日本式のものつくりは既に世界で敗れたのだという主張も現れ始めていた。実際、世界を席巻していた白物家電の世界で日本メーカーの存在感は小さくなっていった。それでも、自動車産業なら日本はまだ「ものづくり」のトップランナーで、安心安全、信頼できるものだと思われてきた。人々の生活と社会の変化を記録する作家の日野百草氏が、大規模不正問題による全車種出荷停止となったダイハツユーザーたちの混乱と困惑をレポートする。

 * * *

「ダイハツ(ディーラー)から電話がありました。納車か、キャンセルかを選んでくださいと。いま乗っている車(同じくダイハツ)の車検が近いから買いましたし、急に他社に替えるのも難しいですから、どうしようかと」

 都内、知人のダイハツユーザーの女性(50代)が電話で語る。声でもわかるほどに「どうしたらよいでしょう」と本当に困惑しきっている。都内といってもいろいろ、彼女の住まいは駅も遠く坂の多い住宅街、同居の高齢者も子どももいる。生活のため、生きるために車がある。

 12月20日、この国の軽自動車市場で3割以上のシェアを占めるダイハツ工業(以下、ダイハツ)は国内外すべての車種の出荷を原則、停止すると発表した。また池田市の本社工場含め、国内4工場すべての稼働も停止する。年の瀬、日本にとって大変な激震となった。

ダイハツなんてあちこち走っている

 車両の衝突試験に不正を繰り返したダイハツは1989年から不正を開始、2014年以降はとくに不正の数を増やし続けたという。現状の発表だけでも国内外64車種の試験における不正、元々は4月28日に公表した一部車種の不正、側面衝突試験の認証不正に端を発しているが、ついに全車種出荷停止に追い込まれた。

 ダイハツを調査している第三者委員会の報告書によれば新たな不正だけでも174件(!)、例としてエアバック、ボディ各部、シート荷重、ドアの開放防止、シートベルト、車外騒音、ヘッドランプ、速度計、排出ガス、燃費、車載出力認証、各種センサー関連(12月20日時点)が挙げられ、それらについて「ねつ造」「自己中心的」「自分や自工程さえよければよく、他人がどうであっても構わない」(ダイハツ工業株式会社第三者委員会「調査報告書」より)と、ダイハツの社風も含め、厳しく断罪されても仕方のない不正とその姿勢の数々が明るみとなってしまった。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン