芸能

「私の居場所は自分自身です」カミングアウトから13年、佐藤かよがたどり着いた現在地

つい先日、35歳の誕生日を迎えた

つい先日、35歳の誕生日を迎えた

 性的少数者をめぐり様々な議論が噴出している。2023年6月の通常国会で成立した「LGBT理解増進法」の法案審議では「女性と称した男性が女性トイレや女湯に入る」との反対論が出るなど議論は沸騰。12月には、KADOKAWAが発売予定だった米ジャーナリストの著書『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』の翻訳本が、当事者らから「タイトルや宣伝コピーが差別を助長する」などと批判を受け刊行中止となった。今、当事者は何を思うのか。かつてテレビ番組で “カミングアウト”したモデルでタレントの佐藤かよ(35)に、旧知の編集者の小林久乃氏が聞いた。【前後編の前編】

 * * *
 自らが性同一性障害であると、テレビ番組で告白をしてから早や13年。当時21歳だったタレントの佐藤かよが、リスタートを切ろうとしている。彼女はこの約10年間、さまざまな経験を経たおかげで、自分が変わったという。

「20代の頃は他人の目ばかり気にしていました。例えば仕事の現場で、誰かが立ち話をしていると、『自分のことを話しているのでは』と自意識過剰になったり、いつも寂しくて、感情もコントロールすることができなくて……自分自身と向き合うことも避けていました」

cap

子どもの頃にはつらい出来事もあった

 彼女がカミングアウトをした2010年は、今以上に日本社会全体のLGBTQに対する理解は進んでおらず、性自認の問題にも無頓着だった。彼女自身、子どもの頃に友人と遊んでいると、いつの間にか仲間はずれにされることもあったという。友人たちの親からの「近寄っちゃだめよ」というアドバイスがあったかもしれないし、幼いながらに何かを感じたのかもしれない。無邪気ないじめほど、残酷だ。そして家族にとってもまた戦いだった。

「父には、(当時の)性同一性障害を理解してもらえなかったこともありました。私に対する、心配あってのことだったと、今ではなんとなく父の気持ちは分かります。でも母は生まれた時からずっと寄り添ってくれていて、今、名古屋で一緒に生活もしています。兄も母と同じで、心配してくれています」

 タレント、モデル、趣味を活かしたゲーマーの顔も持ち、順風満帆に見えていた約10年前。居場所を求めるように、外国に足を運ぶことが増えた。ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、タイ、韓国……。それぞれの国で異なるLGBTQへの対応などを、身をもって体験することになる。

「コミュニケーションを持った人たちには、どこの国でも自分がトランスジェンダーであることを最初に伝えていました。その瞬間、態度が変わって逃げていく人もいたし、受け入れてくれる人もいた。多くの価値観を学びましたね。

 そういうことを繰り返していくうちに、だんだん自分も慣れてきて。『ああ、ここは日本の芸能界ではないんだから、特別扱いをされなくて当然だ』って。そしたら、周囲の目なんて“気にしなくなった”。気にしない、これはこの約10年間で得た、大きな変化です」

cap

海外への渡航を重ねて得たものがあるという

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン