プライベートでは、桜川市の社中で催しているお茶会に、都会っ子のAちゃんやHさんをお誘いしたっけ。2人とも戦友と呼べる編集者だけど、何かの拍子に「田舎のお茶会に行かない?」と誘ったら、「行く行く」と二つ返事。幼なじみのE子の案内でそばの名店に行ったり、狭い茶室でお抹茶をすすったりした。2024年3月8日に再び桜川市で講演会を行うことが決まっているので、これからもっと都会の人に「わが故郷に来てちょうだい」キャンペーンをしようかしら。
そして8つ目はちょっと不思議な話。
講演会の原稿を作ろうと東京・丸の内の丸善のラウンジに行ったら、6年前に亡くなった弟と再会したのよ。いやいや、幽霊とかではなくて、宮大工だった弟・伸一が師事していた親方・田中文男さんの本『現代棟梁 田中文男』が、ラウンジに入ってすぐの展示コーナーにデーンと飾られていたの。そこに掲載された柱組みの模型の現物を、私は生前の弟から25年前に見せられている。「出たな、伸一!!」と毒づいちゃった。
9つ目は私の小さな日常の話。会員になっている東京・千代田区のスポーツセンターの日曜のヨガ教室を、2023年は珍しく、飛び飛びだけど1年間続けられたの。「次は筋トレですね」と若いインストラクターから発破をかけられて、ちょっとその気になりかけている。
最後は友人に貸していた5万円が返ってきたこと。1年半前に貸して、半ば諦めていたからめちゃうれしいんだよ。力のあるその人の仕事が軌道にのってきたということだもの。これを喜ばずにいられましょうか。毎月の収入が当たり前のサラリーマンには理解不能だと思うけど、自営業者は時として米びつが空になることがあるのよね。
で、おまけ。ホストクラブのテーマパークと化した新宿歌舞伎町ツアーをしたこと、ネット同人誌『フェニックス』のリモートお茶会に初参加したことも忘れられない。
……ご覧の通り、“個人的な愛”が欠乏していることにいまになって気づいて、それがものすごく悔しいわけ。こうなったら年末年始のどんでん返しの出会いに期待したいのですよ。
というわけで、みなさま、よいお年を!
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2024年1月4・11日号