いよいよ中央競馬も幕開け、今年の指針づくりに思いを馳せる時期である。競馬ライターの東田和美氏が考察した。
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2023年度に行なわれたJRA全3456レースのうち、単勝オッズ50倍以上の馬が3着以内に来て馬券に絡んだのは1着85回2着201回3着291回。このうち3着以内に2頭絡んだレースがあるので計563レース。16.29%ということはだいたい6レースに1回は絡んでいる計算になる。これが多いか少ないかは見解の分かれるところだが、1日に2回というのは穴党にとってはなかなか心強いデータ。この確率は585レースだった2022年とほぼ同じ、単勝万馬券の数こそ昨年より10回少ない25回だったが、着順別の回数はほぼ同じだった。
では人気薄に騎乗しても、いや人気薄のときこそ上位を狙ってくるのはどういう騎手たちなのだろうか。2022年はリーディング29位の津村明秀騎手を「穴党の神サマ」と崇めた。2023年は人気馬に乗ることも多くなり、リーディング15位と躍進を遂げたのは周知のとおり。
デビュー4年目の原優介騎手は、年間26勝2着27回3着24回でリーディング42位、重賞は未勝利だが、穴党なら高配当の演出者としてすでにマークしているだろう。7月9日の福島4レースで13番人気326倍のボールドトップで1着(ちなみにこのレースでは2着も10番人気で馬連は14万9110円)になったのを始め、オッズ50倍以上で1着3回2着6回3着5回。3月11日の中山9R鎌ヶ谷特別で15番人気558倍を、翌12日の中山7Rで11番人気223倍をともに3着に持ってくるなど、「固め打ち」もしばしば。50倍にいかない時でも、2023年初勝利の46倍など26勝のうち11勝は10倍以上での勝利だ。
なにしろ2020年4月のデビュー初勝利が13番人気53.2倍というからまさに穴馬券の申し子、昨年も3着以内77回のうち13回が50倍以上だ。騎乗回数から見れば勝率、連対率、複勝率はまだまだだが、12月29日東京大賞典でのウィルソンテソーロの大逃げ2着など、思い切った戦法が奏功することが多い。同馬では12月3日チャンピオンズカップ時も92倍ながら2着、その前週の2歳オープン特別では、単勝163倍のジョージテソーロを2着に持ってきているように、「テソーロ」の冠号馬で年間10連対している。人気薄でも注目したいところだ。