ライフ

【クマ被害拡大】仕留められたクマを解体してわかった「ガリガリに痩せている」現実 冬眠できず徘徊する可能性も

「単独忍び猟」を続ける筆者・黒田氏。撮影:大川原敬明

「単独忍び猟」を続ける筆者・黒田氏。 撮影:大川原敬明

「(山の果実が)こんなにナンもなってねぇ年は、90年生きてきて初めてだ」──北海道に住む90歳の古老の一人は、「猟師」として移住してきた元NHK自然番組ディレクターの黒田未来雄氏にそう語ったのだという。実際、黒田氏が森の中を歩いていても山の果実の不作ぶりは明白で、記録的な酷暑とともに、昨年はクマにとっても受難の年だった。食を失ったクマと人間の共存は可能なのか──そのためのヒントを探る。【全3回の第3回。第2回から続く】

 * * *
 ヒグマは何を食べて暮らしているのか。それを端的に示してくれるのがフンだ。

 生物学でも狩猟でも、フンの観察は欠かせない。私は狩猟を始めて7年で、決してキャリアが長いとは言えないが、それでもいくつものヒグマのフンを見てきた。結果、エゾシカの毛が混入していることは、全く珍しいことではないと感じている。

 クマはそもそも「食肉目」に分類される。長い進化の歴史を見れば、肉食がメインだった動物が、植物も食べるように変わっていった動物だ。

 サケが多く遡上する知床などの地域では、普通に川に入ってサケを捕る。状況に応じて、最も入手しやすく、栄養価の高い食べものを食べる。それが食に柔軟なヒグマの戦略だ。

 ヒグマは今までもエゾシカを食べてきただろうし、果実が不作であれば、そうした個体が増えるのは当然のことと思える。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン