岡田彰布・監督のもと38年ぶりの日本一を果たした阪神。勢いそのまま連覇なるか、阿部慎之助・新監督の巨人など他球団が阻止するのか。岡田阪神で2004~2008年に投手コーチを務めた中西清起(野球評論家)氏と、ご意見番の達川光男氏(野球評論家)が語った。【前後編の前編】
達川:去年の阪神は、1985年の日本一と状況がよう似とった。あの時は、中西と和さん(山本和行)の2枚ストッパーで、ケガした和さんのぶんまで中西が奮起した。去年もキャッチャーの梅野(隆太郎)がケガをして、坂本(誠志郎)が大きく成長したからね。
中西:岡田監督がリーグ優勝した2005年と比べても、主力が若いのが特徴です。その意味では、連覇の可能性は高いでしょう。2006年に連覇を逃したのはドラゴンズが強かったのが大きかったが、去年は対抗馬不在で、岡田監督も「しんどいゲームがなかった」と言っていた。
達川:9月の直接対決で、“カープが3連勝すれば面白くなる”という時があったけど、逆に3連敗。あれでほぼ決まったよね。
中西:6月下旬にDeNAに3連敗して首位を明け渡した時も余裕があった。この3連戦でDeNAはエース級を並べたが、阪神は4番手以下。主戦級の村上(頌樹)や大竹(耕太郎)も投げさせられる状況だったけど、岡田監督は先を見据えていると感じました。
達川:3回目の監督という経験と、欲がないから余裕があった。あと2008年の経験も大きいと思うよ。
中西:最大13ゲーム差をひっくり返された年ですね。あの時は選手にムチを打って追い込んでもなかなか勝てなかった。苦い思いをして66歳になり、孫もできて丸くなった。
達川:選手も孫みたいなもんやからね。前回は選手が子供くらいの年齢やったからすぐに叱っていたけど、今は孫だから「しょうがないな」という感じで、直接怒ったこともないんじゃないの。
中西:選手と直接しゃべってはいないですね。何か言われるのはコーチ。岡田監督から「何を考えて打ちにいったんや。聞いてこい」と言われているのが水口(栄二・打撃コーチ)ですわ。
達川:水口と平田(勝男・ヘッドコーチ)、藤本(敦士・内野守備コーチ)が怒られ役よ。
中西:平田ヘッドが岡田監督の性格を知り尽くしているので、選手とコーチの間で中和してますわ。
達川:平田は星野(仙一)さんの下にもいたし、色々と学習しとるからね。でも一番いけんのは、平田がアサヒビールのネットCMに出ていることよ。
中西:あのCMのきっかけになった日本一祝賀会のビール掛けでのセリフ、ほとんどオレのパクリですよ(笑)。20年以上前に、コーチ会議で平田さんから「中西、締めろ」と言われて、「宴も竹中直人」とか「このあたりで中島(中締め)みゆき」とかやっていたんです。「おつかれ生です」は言っていなかったけど(笑)。
達川:平田は、のし付けてビールを持って来んといけんな!