ついに逮捕者が出た。東京地検特捜部は1月7日、自民党・安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーをめぐる問題で、派閥から約4800万円のキックバックを受けながら、政治資金収支報告書に虚偽の記載をした疑いで、池田佳隆衆院議員と会計責任者を逮捕した。事件がどこまでの広がりを見せるのか、捜査は大詰めを迎えつつある。
そうしたなか、裏金事件の捜査でターゲットとなっている面々にも明暗がわかれているようだ。特捜部は昨年末、安倍派の指導部メンバーで前自民党参院幹事長の世耕弘成氏らを事情聴取したが、年明け早々には、世耕氏が地元・和歌山を二分するかたちで主導権争いを繰り広げてきた二階俊博・前幹事長に対しても事情聴取を行った。
そんな2人の大物がしのぎを削る地元・和歌山では、“2人の明暗がわかれそうだ”と囁かれているという。
二階氏の地元、和歌山県御坊市で二階氏の側近との間で議席を争ってきた元県議の楠本文郎氏(日本共産党)が、裏金事件で走った激震の大きさを語る。
「裏金疑惑がさかんに報道されるようになった昨年の暮れから、“あの2人は和歌山を疲弊させるばかりで何をしてくれたんや”という有権者の声を聞くことが増えました。これまでこの2人を批判しなかったような立場の人からもそうした声を聞いています」
保守王国・和歌山の政界で長年、大きな影響力を保ってきた二階氏との暗闘が取り沙汰されていたのが、世耕氏だ。二階氏の地盤である和歌山2区(旧3区)を念頭に衆議院鞍替えに意欲を示してきた世耕氏は、強制捜査前に行われた月刊誌『Hanada』のインタビューで「いずれは国のかじ取りをしてみたい」と首相への意欲を語っていた(同誌の発売は安倍派各議員への任意聴取開始4日後の12月20日)。