総統選後の台湾進攻シナリオ

総統選後の台湾進攻シナリオ

峯村:中国は台湾統一のために米国の南北戦争を研究している。「これは内戦であって、外国は干渉すべきではない」と主張するためです。

橋爪:いや、南北戦争と同じではないのです。中華民国は正統政府で、共産党に負けて台湾に逃げたが、当時まだ中華人民共和国は存在していなかった。台湾は今の中国の一部だったことはない。米国外交の最大の失敗は、「台湾は中国の一部」という中国の言い分を認めて、「中国は一つ」と言ってしまったこと。取り消したほうがいいと思う。

峯村:11月の米国大統領選でトランプが大統領になれば、対中国、対台湾政策の予測不可能性が一層高まる。

橋爪:トランプ当選の可能性は十分ある。トランプは経済のこと以外はわかろうとしない。中国の本質も、軍事と外交と経済をどう組み合わせるかも、アメリカが国際秩序を支えることにはコストに見合ったベネフィット(利点)があることも、まるで理解しない。トランプがそうなので、国務省も米軍も困惑する。米国政府は機能不全になる。我が国も大変困る。日本にできるのは自衛隊の能力を高めて中国を牽制することです。たとえば中国には中距離弾道ミサイルが数千発あるというが、日本にはない。軍事バランスがまるで取れない。

峯村:正確に言うと、地上発射型中距離弾道ミサイルは日本にはありません。米国もゼロです。中国は公表していないが、千数百発は持っていると見られている。完全にアンバランスな状態で、台湾有事の際に日本の基地を狙われたら反撃できない。そうなると、中国軍の戦闘機や爆撃機が日本に飛んできて徹底的に破壊されかねない。日本も中国から撃たれた時に相手のレーダーサイトや滑走路などに撃ち返す能力を持つことが早急に必要でしょう。

 一方台湾では、地下のシェルターに戦闘機や爆撃機を隠したり、滑走路が壊されてもすぐに修復できるようにしている。日本も台湾に学ぶべきです。

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