国内

【カリスマ・池田大作氏を失った創価学会】公明党にとって次回総選挙は“弔い合戦”、票を伸ばす可能性も 結果次第で自公連立解消あるか

公明党との関係はどう変わる?(左から創価学会・原田稔会長、公明党・山口那津男代表/時事通信フォト)

公明党との関係はどう変わる?(左から創価学会・原田稔会長、公明党・山口那津男代表/時事通信フォト)

 池田大作・名誉会長亡きあとの創価学会はどこへ向かうのか。宗教学者の島田裕巳氏と『宗教問題』編集長の小川寛大氏は、カリスマ不在の中、自公連立の解消など政界再編の動乱につながる可能性を指摘する。【前後編の後編。前編から続く

島田:直近で組織の今後を占う出来事となりそうなのが、やはり次の衆院選でしょう。創価学会は公明党の「集票マシーン」とも言われていますが、国政選挙での公明党の比例票は2005年の898万票をピークに下降傾向にあり、2022年は618万票でした。この10数年、選挙の度に一貫して得票数が減っていますが、池田氏の死でこれがどうなるか。得票数や議席が大きく落ちれば、創価学会ならびに公明党にとって組織的な大打撃となります。

 とりわけ1世の学会員は池田氏を尊敬し、ボランティアで聖教新聞の配布や選挙活動に勤しみ、連立を組む自民党の票を稼ぎ出してきました。そうした70~80代の学会員が選挙活動から手を引いた場合、残された2世や3世が積極的に選挙を手伝うとはなかなか考えにくい。

小川:私が知る学会員は「高齢で体が動かずつらい」とこぼし、2022年の参院選を「池田先生への最後のご奉公」として選挙活動に励んでいました。池田氏の死を機に選挙から身を引く人は少なくないはずです。ただし学会員には「負けじ魂」があるので、次回選挙を池田氏の弔い合戦と位置付け、組織を総動員して得票数を伸ばす可能性も捨て切れません。その意味では、池田氏が亡くなった記憶が鮮明なうちに解散総選挙があるかどうかがポイントでしょうね。特に関西は日本維新の会が勢いづいており、原田会長はこれを意識して結束を呼びかけている。熾烈な戦いになりそうです。

島田:1999年に自公連立が始まって四半世紀が経過し、自民党は創価学会の票にかなり依存するようになっている。さらに自民党は現在、派閥の裏金問題で対応に追われ、支持率も下落し続けています。こうした状況のなかで創価学会の票が減ったら、自民党の議席にも大きな影響が出てくる。そうなると、自公連立の解消もあり得るでしょう。池田氏の死をきっかけに政局が一気に流動化すると言えます。

小川:もともと選挙目当ての連立で、イデオロギーや政策でつながっているわけではなく、創価学会票がガンガン減るなかで連立の意味が薄れている。自公政権が瓦解するXデーは早い段階で訪れるかもしれません。個人的にはカリスマ指導者を失った創価学会は選挙にだけ過剰な力を入れる姿勢を改め、本来の仏教団体として再構築したほうが長期的に生き残れると思います。でも、そうする動機も機運も乏しいから難しいでしょうね。

(了。前編から読む

【プロフィール】
島田裕巳(しまだ・ひろみ)/1953年、東京都生まれ。1976年に東京大学文学部宗教学科を卒業し、1984年に同大学大学院人文科学研究課博士課程を修了。放送教育開発センター助教授などを歴任。現在は東京女子大学非常勤講師を務める。

小川寛大(おがわ・かんだい)/1979年、熊本県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て、2014年に宗教専門誌『宗教問題』編集委員、2015年に同誌編集長に就任。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連記事

トピックス

すき家がネズミ混入を認め全店閉店へ(左・時事通信フォト、右・HPより 写真は当該の店舗ではありません)
【こんなに汚かったのか…】全店閉店中の「すき家」現役クルーが証言「ネズミ混入で売上4割減」 各店舗に“緊急告知”した内容
NEWSポストセブン
江口容疑者と自宅
《16歳女子高生の遺体を隠し…》「6人家族だけど、共働きのご両親が不在がちで…」江口真先容疑者(21)が実家クローゼットに死体を遺棄できた理由
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
X子さんフジ退社後に「ひと段落ついた感じかな」…調査報告書から見えた中居正広氏の態度《見舞金の贈与税を心配、メッセージを「見たら削除して」と要請》
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレが関東で初めてファンミーティングを開催(Instagramより)
《新メンバーの名前なし》ロコ・ソラーレ4人、初の関東ファンミーティング開催に自身も参加する代表理事・本橋麻里の「思惑」 チケットは5分で完売
NEWSポストセブン
中居氏による性暴力でフジテレビの企業体質も問われることになった(右・時事通信)
《先輩女性アナ・F氏に同情の声》「名誉回復してあげないと可哀想ではない?」アナウンス室部長として奔走 “一管理職の職責を超える”心労も
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
【女占い師が逮捕】どうやって信者を支配したのか、明らかになった手口 信者のLINEに起きた異変「いつからか本人とは思えない文面になっていた」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
「スイートルームの会」は“業務” 中居正広氏の性暴力を「プライベートの問題」としたフジ幹部を一蹴した“判断基準”とは《ポイントは経費精算、権力格差、A氏の発言…他》
NEWSポストセブン
大手寿司チェーン「くら寿司」で迷惑行為となる画像がXで拡散された(時事通信フォト)
《善悪わからんくなる》「くら寿司」で“避妊具が皿の戻し口に…”の迷惑行為、Xで拡散 くら寿司広報担当は「対応を検討中」
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”4週連続欠場の川崎春花、悩ましい復帰タイミング もし「今年全休」でも「3年シード」で来季からツアー復帰可能
NEWSポストセブン
騒動があった焼肉きんぐ(同社HPより)
《食品レーンの横でゲロゲロ…》焼肉きんぐ広報部が回答「テーブルで30分嘔吐し続ける客を移動できなかった事情」と「レーン上の注文品に飛沫が飛んだ可能性への見解」
NEWSポストセブン
佳子さまと愛子さま(時事通信フォト)
「投稿範囲については検討中です」愛子さま、佳子さま人気でフォロワー急拡大“宮内庁のSNS展開”の今後 インスタに続きYouTubeチャンネルも開設、広報予算は10倍増
NEWSポストセブン
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ
「スイートルームで約38万円」「すし代で1万5235円」フジテレビ編成幹部の“経費精算”で判明した中居正広氏とX子さんの「業務上の関係」 
NEWSポストセブン