がんに次いで日本人に多い死因とされる「血管死」。突然訪れ、なすすべもなく命を奪って行く恐ろしい病気だが、知識と経験を併せ持ち、寄り添ってくれる医師のもとで治療を受ければ助かる見込みは大きく上がる。ジャーナリスト・鳥集徹氏と『女性セブン』取材班が調べた全国の心臓と血管の名医を一挙公開する。【前後編の前編。後編を読む】
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冬は一年のうちで、「心筋梗塞」や「脳卒中」など血管病による死亡者数が多い時期だ。暖かい浴室から気温の低い脱衣所へ出た瞬間や、暖房の効いた部屋から出て寒いトイレでいきんだときに血圧が急上昇しやすく、それがトリガーとなって心臓や血管がトラブルを起こすことが大きな原因の1つだ。
加えて昨今、季節を問わず血管病で命を落とす人数が増えている。国立がん研究センターの報道発表(2023年8月31日)によると、2021年の日本人の「年齢調整死亡率(※異なる集団や時点と比較するために、高齢化の影響を受けないよう年齢構成を調整して計算した死亡率のこと)」は、前年に比べ2.2%上昇した。同センターによるとその要因となったのが「新型コロナ」や「老衰」と併せて「循環器疾患(心臓や血管の病気)」の増加だった。
心臓や血管の病気は女性より男性の方が多いイメージがあるが、閉経後は女性も男性とリスクが変わらなくなり、75才以上になると虚血性心疾患(心筋梗塞など)の罹患率は男女差がほぼなくなる。
さらに気がかりなのは、死亡率においては女性の方が高いことだ。東北大学が2023年に発表した調査によると、心筋梗塞で入院した患者の死亡率は女性が男性の2倍にものぼっていた。
男性は胸の痛みのような典型的な症状を訴えることが多い。ところが女性は背中やあご、のどの痛み、食欲不振や倦怠感などすぐに心筋梗塞に結び付かない症状のケースが多く、受診が遅れるのが一因ではないかとみられている。したがって女性も、気になる症状があった場合には、心臓や血管の病気も疑った方がいい。一度、専門医である循環器内科医に診てもらうといいだろう。とはいえ、一口に「治療」といっても薬の投与からカテーテルを用いた処置、開胸手術まで多岐にわたる。
そこで前号に続き、信頼できる循環器内科医と心臓血管外科医に、腕ばかりでなく患者に寄り添ってくれる専門医の名前を挙げてもらい、同時にどのような観点から医療機関を選ぶべきかについて解説してもらった。