大相撲は毎場所、土俵上の主役が入れ替わる“戦国時代”。初場所の番付が発表され、先場所優勝の霧島が初めての横綱昇進に挑むが──好角家で知られるヨネスケ(落語家)とやくみつる(漫画家)が語り合った。【前後編の後編。前編から読む】
熱海で嫌われる貴景勝
やく:横綱相撲かどうかという点で言えば、9月の秋場所で優勝した貴景勝は、決定戦で平幕の熱海富士を相手に変化した。お話になりません。
ヨネスケ:貴景勝は大関のままでいいんじゃないかと思う。「名大関」と言われる存在を目指すのも悪くないよ。時には横綱を倒すけど、平幕に簡単に負けることもある。過去にもそういう名大関はたくさんいた。赤銅色の体で“南海の黒豹”と呼ばれた内掛けの名人・琴ケ濱とかね。
やく:貴景勝に秋場所の決定戦で敗れた熱海富士は、初場所が真価を問われる場所になるでしょう。上位相手に勝ち越すようなら大関、横綱になる可能性がありますよ。
ヨネスケ:熱海出身で熱海富士。昔ながらの名付け方で、いい四股名だね。
やく:秋場所の千秋楽は、熱海のパブリックビューイングに行ってきたんです。歴史の転換点になるかもしれないと思い立って、新幹線で行きました。今は熱海在住で、後援会に入ったという橋幸夫さんもいましたね。
ヨネスケ:へーっ、橋さんが! で、熱海まで行って貴景勝に注文相撲で負けるのを見たと。
やく:凄まじい怒号でした。翌日のスポーツ紙は“非難の声が上がった”くらいの書き方でしたが、そんなもんじゃなかった。画面に向かって“恥を知れ!”と言い放つ老人がいたりして。もう、貴景勝は熱海に足を踏み入れられませんよ(苦笑)。
ヨネスケ:値打ちがある場面を見たねぇ。
やく:(熱海富士)朔太郎は地元で愛されています。
ヨネスケ:あとは、休場が続く横綱の照ノ富士。ボクは大好きで、体が治るまで休んでくださいという感じ。ケガがなければ滅茶苦茶強い力士ですよ。