田中角栄邸からは炎と煙が上がっていた(時事通信フォト)

田中角栄邸からは炎と煙が上がっていた(時事通信フォト)

角栄邸の火事より「地震をちゃんとしなさい」

 そもそもこれを捜査対象だった財務省が言うのもおかしな話だ。それについて尋ねると、

「森友事件はすでに告発された全員が不起訴となって捜査は終わっています。だから『この事件の捜査に支障が出る』という言い訳が使えない訳です。そこで『将来の捜査への支障』なんて苦し紛れの屁理屈を持ち出してきた。こんなこと、財務省の人間には思いつかないでしょう。訟務検事が悪知恵を働かせたんですよ」(郷原氏)

 国が被告となる裁判では、国の代理人は弁護士ではなく法務局の訟務検事が務める。主に検察庁から出向した検事が担当するから、検察の捜査実務をよくわかっている。

「だから彼らは、実際には将来の捜査に影響がないなんてよくわかってる。それでも民事の裁判官は刑事の実務なんて知らないし、検事出身の訟務検事が『将来の捜査に支障があるんだ』と主張すれば、否定する材料もないので受け入れてしまうんですよ。そんな理屈が通用しないことは、意見書できっちりと指摘するつもりです」(郷原氏)

 最近話題になった日テレの『仰天ニュース』の再現ドラマを、郷原氏も見たという。

「一連の事件の経緯を非常にわかりやすく説明していましたね。俊夫さんがどういう人で、どういう風に追い込まれたのか。やらざるを得ない立場にされて、部下にはやらせず、自分が引き取った。それによって公務員の使命感に反することをやったことへの自責の念で精神的に追い込まれていったことがよくわかりました。

 俊夫さんは自分の行為が犯罪になることをよくわかっていたから、検察が来ると怯えていた。検察からの呼び出しに恐怖を覚えた。当人が一番そう感じていたのに、検察が全員不起訴という判断をしたこと自体おかしなことですよね。だから検察は絶対(任意提出の資料を)出されたくないから、とんでもない屁理屈をこねるんでしょう」

『仰天ニュース』の再現ドラマ、雅子さん本人はどう受け止めたのか?

「裁判を続けるのはつらかったけど、ご褒美をもらったような気がします。若い世代の方に知ってもらえたことが嬉しい。佐川さんにもこのドラマが届いてほしい。そして佐川さんにしかできないことをしてほしい。それってやっぱり説明することですよね」

 雅子さんをモデルにした連載漫画『がんばりょんかぁ、マサコちゃん』も全3巻が発売中だ。今は入手困難になっているようだが、ドラマや漫画を通し一人でも多くの方に事件を知っていただくことが、真実に近づく後押しになるだろう。

 そして力強い“助っ人”の田中眞紀子さん。1月8日、旧田中角栄邸が火事になり全焼したニュースは記憶に新しい。雅子さんがお参りした仏壇も健さんの線香も焼けてしまったのだろう。さぞ気落ちしているかと思いきや、郷原氏が10日に電話するとまたも“立て板に水”でこう語ったという。

「火事についてどうのこうのって、もういっぱい電話きてるんだけど、そんなことより地震の方をちゃんとしなさいって言ってやってるのよ」

 眞紀子節、健在である。

◆取材・文/相澤冬樹(ジャーナリスト)

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