永野芽郁が主演の連続ドラマ『君が心をくれたから』が話題だ。初回の世帯平均視聴率は関東地区で7.2%とひと桁台だったのに対し、ドラマの舞台である長崎県では同22.6%と高視聴率を記録。眼鏡橋やグラバー園など長崎の定番スポットが多数登場することで「ご当地感」が話題の本作だが、ドラマオタクのコラムニスト・小林久乃氏もまた、同作の「長崎ロケ」に注目する。
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新「月9」ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)が始まった。自分に自信が持てないまま生きてきた元パティシエの逢原雨(永野芽郁)と、色覚異常から花火師の夢をあきらめようとする朝野太陽(山田裕貴)。惹かれ合うふたりだったが、雨の目の前で太陽が交通事故に遭ってしまう。そこに現れたのは、“あの世からの案内人”を名乗る男(斎藤工)。男が提示したのは「雨が五感を差し出せば、太陽の命が救われる」という“奇跡”の契約だった──。
月9枠では久々となる、ストレートなラブストーリーだ。ここ数年、同枠のドラマは決して好評ばかりではないので、今回こそ物語ともどもハッピーエンドで終わって欲しい。これまで大きな人気と歴史を作ってきた月9だからこそ、ドラマファンとしての期待と、SNSで叩かれているのを見たくない気持ちがあるのだ。
そして今回の月9には、“長崎がロケ地”という大きな見どころがある。そもそも長崎県は数多くの文芸作品の舞台になったほか、ドラマや映画のロケ地、アニメの舞台などとして、多くの映像作品に映り込んできた。最近のドラマでは朝ドラ『舞いあがれ!』(NHK・2022年)や、『ばらかもん』(フジテレビ系・2023年)などで五島列島が使われている。
私も以前、仕事で長崎県での写真撮影を検討した際にコーディネーター、カメラマンなどスタッフにもアドバイスを求めたところ、「海と山の自然と、街中の風景が一気に撮影できる」「市内にある“坂道”で絵に変化がつけられる」「とにかく抜けがいいから、撮影がしやすい」という意見が返ってきた。
今回の月9ドラマを見ているだけでも、カメラマンが気持ちよく撮影している雰囲気が、ひしひしと伝わってくる。原作のない、オリジナル脚本の『君が心をくれたから』がどんな経緯で長崎をロケ地に選定したのかは分からないが、ドラマファンとしては「ありがとう」という思いがある。