お正月気分を切り裂いた「令和6年能登半島地震」の発生から半月が過ぎた。犠牲者は1月15日14時時点で、石川県内で222人。そのうち「災害関連死」の疑いがあるのは14人だ。
「安否不明者の捜索や、けがをした人の治療などは急務ですが、同時に『災害関連死』への対策を早急に行わなければなりません」
福島大学特任教授で、災害社会学が専門の天野和彦氏はそう警鐘を鳴らす。そもそも「災害関連死」とは、「当該災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による疾病により死亡」と定義されている。
能登半島地震においては、心臓疾患があった86才の男性が避難所で亡くなったほか、普段服用していた薬が飲めずに持病が悪化したり、流動食を入手できずに誤嚥性肺炎を起こした高齢者のケースなどが災害関連死とされている。
「大きな原因は避難所の環境にあります。私や弁護士が共同代表をつとめる『一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会』では、発災翌日の1月2日にメンバーが被災地に入りました。その時点で、ストーブが1台しかない避難所があったり、電気が止まったりしている避難所がありました。厳寒期にもかかわらずゴザや薄いマットの上で寝なければならず、低体温症や持病の悪化など、災害関連死のリスクが非常に高まっていると感じました」(天野氏、以下同)
災害関連死は、発災から1か月くらいまでに大幅に増える傾向にあるという。
「発災から1週間から1か月の間が非常に多くなります。1か月を過ぎると、その頃には二次避難をして寝食がある程度安定したり、支援物資が届き始めて避難所生活の物資不足やストレスが緩和されるため、リスクが減るのです。
ところが、能登半島では2週間が経った今も物流も支援も手薄な状況が続いています。被災者にとって厳しい避難生活を送らざるを得ず、寒さ、物資不足から命の危険につながってしまいます」