国内

香川県丸亀市が能登半島地震の被災地で「うどんの炊き出し」 東日本大震災での“失敗”を生かして“現地調達ゼロ体制”の支援

丸亀市の炊き出しの体制はどんどん進化(2016年、熊本県益城町)

丸亀市の炊き出しの体制はどんどん進化(2016年、熊本県益城町)

 地震発生から2週間以上が過ぎた今も被害の全容が見えぬ能登半島地震。長引く避難生活の助けとなるのが、炊き出しなどの支援だ。いまだに断水や停電が続き、多くの避難所生活者を抱える石川県七尾市では、1月19日、20日の2日間、JR七尾駅前で計2000食のうどんの炊き出しが行われる予定だが、そのニュースがインターネット上でにわかに関心を集めている。

 この炊き出しは讃岐うどんの本場、香川県の丸亀市が行うという。遠く離れた七尾市と丸亀市だが、実は意外な接点がある。双方の交流が始まったのは、いまから50年以上前に遡る。

「1972年に行われた『丸亀お城まつり』に、七尾市に古くから伝わる和太鼓団体が出演したことをきっかけに交流が進み、1974年に親善都市提携を結びました。現在は毎年七尾市で丸亀市の物産展が行われています」(丸亀市関係者)

 50年も続く親善都市の甚大な被害を知った丸亀市は即座に動いた。丸亀市観光協会の山田哲也事務局長が話す。

「1月5日から丸亀市職員が現地に赴き、どういった支援ができるのか情報収集や現状把握を行いました。そして今回の炊き出しを決めたのです」

 振る舞われるのは、香川県が誇る名物、讃岐うどん。彼らには13年前に心に刻んだ教訓があった。

「香川県は、東日本大地震が起きた直後に被災地にうどんとつゆを送りましたが、断水が続く地域では麺を茹でる水が用意できませんでした。結果、すぐに食べてもらえなかったのです。被災地の現実を知らなかったゆえの“失敗”でした。当時、インターネット上では、“支援になっていない”といった心ない声も飛び交ったと聞いています」(前出・丸亀市関係者)

 それ以降、どのような支援が求められているのか、事前に調査をした上で物資を送るようになったという。そして今回、丸亀市が“現地調達ゼロ体制”で挑むことについて、インターネット上では「丸亀市の支援は本気だ」などの称賛の声が巻き起こっているという。

「過去の反省を生かし、お椀やお箸、釜、水を入れたポリタンクなど、道具も材料もすべて車に載せていく“完パケ”状態で、七尾市に向かいます。だしを取るためのいりこや昆布はもちろん、ねぎや七味、しょうがやかまぼこなども用意し、市職員と市観光協会職員の総勢8人で向かう予定です」(前出・山田さん)

 1月の七尾市の最低気温は氷点下を下回る日も。本場の讃岐うどんが、被災者の身も心も温めてくれるだろう。

※女性セブン2024年2月1日号

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン