石川県警の警察官である大間圭介さん(42)は、珠洲市の帰省先で能登半島地震に被災。妻のはる香さん(38)と長女の優香ちゃん(11)、長男の泰介くん(9)、次男の湊介くん(3)を失った。一人生き残った彼が、メディアの取材に応じるのはなぜなのか。現在の切実な心境を明かしてくれた。【前後編の後編。前編から読む】
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大間さんが妻のはる香さんと出会ったのは、彼女がまだ小学生の頃のこと。3歳年下の妹がはる香さんと同じバスケットボールのチームでプレーしており、応援に行った試合で見かけていたのだ。二人は社会人になってから市町村の体育大会で再会し、穏やかな愛を育むようになった。大間さんが29歳のときに結婚して、3人の子宝に恵まれた。
大間さんは、子どもたちを「宝物だった」と語る。
「お姉ちゃんの優香は、韓国アイドルが大好きでした。歌と踊りが好きで快活だけど負けず嫌いで、なんでも頑張ってやっていました。将来はアナウンサーかお医者さんになりたいと言っていて、可愛い子でした。
長男の泰介は、優しかったですね。本当に優しすぎるくらい優しくて、自分の小遣いですよ、せっかくもらったお小遣いで、僕のために服を買うんですよ……(涙で声を震わせる)。物を作るのが好きで、将来は建築士になるかポケモンの会社に入りたいって言っていました。
僕は単身赴任してるから、たまに金沢の自宅に帰ると、すぐ玄関に泰介と湊介とが来て抱っこをせがむんです。僕は高い高いしたり、ギューって抱きしめたり……。迎えに来てくれるのが嬉しくて……。
次男の湊介は、お兄ちゃんが野球しているのを真似してバットを振ったり、最近は仮面ライダーのベルトをもらって、『変身』って嬉しそうに繰り返したり。明るい良い子でした。本当にずっと宝物だったし、みんな今も宝物なんです」