「その日の大越さんの表情は、いつもより強張っているように見えましたね。被災地の人々を苦しめる災害関連死や、二次避難の課題などを報じながら、自分たちの仲間の安否も気にしていたのでしょう」(テレビ局関係者)
『報道ステーション』(テレビ朝日系)メインキャスターの大越健介氏(62才)も気が気でなかったに違いない。1月11日の放送の前夜、同番組の取材班が被災地で大きな交通事故を起こし、救急搬送されていたのである。新聞・テレビをはじめとしたメディア各社が被災地で能登半島地震の取材を進める中、10日、能登半島先端に近い石川県能登町で事故は発生した。
「23時頃だったといいます。報道ステーションの取材クルー5人が乗ったタクシーが、現場から宿舎に戻る途中に横転してしまったそうです。いちばんけががひどかったのは音声スタッフ。腰椎を折る全治3か月の重傷で、現地の病院で処置を受けたといいます。
単独事故だったことが不幸中の幸いですが、この件を知った地元メディア関係者は“いまの石川県では被災者でさえ病院にかかることができる人は限られているのに、外から入ってきて事故を起こされては……”と困惑していました」(別のテレビ局関係者)
地震発生から1週間余り。被災地では感染症が蔓延し、災害関連死の危険性が高まる状況での事故だった。
「横転の原因は、タクシー運転手の体調不良。走行中に気分が悪くなり、道路脇の段差に乗り上げ横転してしまったそうです。取材は早朝から深夜まで続いたそうで、さらに現地は地割れが発生していて路面状況は相当悪い。まして夜間の運転です。ドライバーの負担は想像を絶します。
被災地の現状を克明に伝える災害報道は間違いなく必要ですが、自分たちの安全を確保することは最低限のことです。今後は、例えば運転手を最低2人は確保するなど、万全の態勢を整えて取材に臨む必要があるのではないでしょうか」(前出・テレビ局関係者)
テレビ朝日は「被災地取材の過程で事故が発生したことは誠に遺憾です。現在、さらに安全管理を徹底しております」と回答した。実際に事故の翌日、上層部には被災地取材での安全管理の徹底が厳しく言い渡されたという。
※女性セブン2024年2月1日号