1月19日、サッカーアジア杯のグループステージ2戦目、日本は1対2でイラクに敗れ、決勝トーナメント進出は3戦目のインドネシア戦に持ち越された。この試合はテレビ朝日系で放送され、松木安太郎氏と内田篤人氏が解説を務めた。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏は、この試合での松木氏の「まだ時間はある」発言に注目した。本当に「まだ時間はあった」のか。そして「本当は時間がない」時は、どんな傾向が読み取れるのか──。
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松木氏は劣勢になると、「まだ時間はある」と繰り返す。しかし、前半ならまだしも、後半になっても「まだ時間はある」と言い続ける。すると、視聴者は「本当にまだ時間はあるのか?」と疑問を持ち始める。そこで、イラク戦で松木氏が「まだ時間はある」関連の発言を何回したのかカウントした。
【松木安太郎氏の「まだ時間はある」関連発言一覧:2024年1月19日イラク戦】
1:前半6分58秒 時間はたっぷりあるんでね。
2:前半51分13秒 よしよし、まだまだまだ。時間はあるから。時間はあるから。
3:後半23分50秒 まだ時間ある。大丈夫。
4:後半35分54秒 時間もたっぷり、まだ十分、点取れるチャンスがあるんでね。
5:後半44分27秒 いやいや、もう…とにかくまだ時間はある。(アディショナルタイムは)5、6分はあると思うから。
6:後半45分5秒 (アディショナルタイム表示)8分ある。8分あるから大丈夫だ、大丈夫。
7:後半45分10秒 (「松木さんありますね」と吉野真治アナに振られて)ある、ある。
8:後半47分32秒 まだ6分あるからね。
9:後半47分 (日本1点目)まだ5分ある、5分ある。5分ある、5分。
10:後半49分6秒 時間はある。時間はある。
11:後半51分38秒 まだ3分はあるから、3分は。
※テレビ朝日の分数表示を参考に話し始めた時間を記載。9は日本のゴール直後。
本当にまだ時間はあったのか。答えはノーである。イラク先制後の前半6分「時間はたっぷりあるんでね」はその通りであり、イラク2点目後の前半51分「時間はあるから」も間違っていない。だが、視聴者の同意を得られるのは後半23分の「まだ時間ある」までだろう。アディショナルタイムを考えれば、後半35分も許容範囲内かもしれないが、少なくとも「たっぷり」はない。そもそも、前半6分に「時間はたっぷりある」と言っているが、それから80分程度経過した後半35分に「時間もたっぷり」と言うのは違和感がある。
つまり、本当に時間があったのは11回中3回で、確率は27.3%になる。ただ、後半23分の時点で試合時間の7割は消化しているため、現実問題として松木氏が「まだ時間はある」と叫んで、「本当にまだ時間があった」のは最初の2回だけ。確率は18.2%だと言っていいだろう。